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城ヶ尾峠より畦ヶ丸山
高山 政敏

山行日 1962年4月8日
メンバー (L)宮坂、花岡、諏訪、高山、小磯、印牧、宮原、小河、渡辺、溝越

 今にも降り出しそうなどんより曇った天候にも拘わらず車中の人となる。山男に雨などさほど関係ないのか、山へ足を運ぶ人間が想像以上に多いのには驚きの目を見張る。完全装備で身を固めた者や、ヤッケを着込んだヤッケーな者や、あるいは銀座を歩くような姿の人など好みは色々である。
 御殿場線谷峨で列車を捨て、滑らかに舗装されたバス道路を歩く。神縄、落合と道は進むに連れて悪くなったが、空には出発時とは対照的に星が光り輝いている。コースも上ノ原からはバス道路を離れ山道を行く。
 時計の針が2時半を指している。大した登りではないが眠気が襲う。登山者が少ないためかコースはかなり荒れていた。夜中のため何も見えず懐中電灯の僅かな灯が眼中に映るのみである。
 休憩場所予定地である地蔵平へ着いたのが4時35分、2~3軒の家を残し今はなき部落の跡が生存競争の激しさを痛烈に物語っているかのようであった。
 部落の空き家で仮眠する予定であったが、このように何もないのでやむを得ず滑らかな草原で眠る。
 眠さのため寒さも忘れて4、50分もうとうとしたが春とは言えさすがに明け方の寒さは身にしみる。
 眼の前を流れる大又沢で焚き火を囲みながら朝飯を食べ太陽が東の空に昇る頃、地蔵平を後にする。
 大又沢にかかる丸木橋を左に渡り、背の丈もある笹に囲まれながら登り、登り詰めた所が城ヶ尾峠である。
 この峠が山梨県と神奈川県との境である。かなり険しい登り下りをしながらモロクボ沢の頭へ、そこから一気に原生林に包まれた畦ヶ丸山のピークに立つ。標高1292.6mの畦ヶ丸は展望こそ利かないが、他の面で満足感を与えてくれた。
 天候は増々悪化しつつあるので、中川温泉へ下るという渡辺、溝越両君とも別れて畦ヶ丸を後に城ヶ尾峠へ戻る。雨足は遅かったが霧の如く降る雨はかなり堪えた。
 峠よりの下山路は神地方面に抜けるコースを取り、唐沢'道坂峠分岐点)よりバスに乗る。
 雨のため、予定通りいかなかったが数々の想い出を残して梅の花咲く道志村を後にした。

〈コースタイム〉
新宿駅(21:35) → 谷峨駅(23:35) → 神縄(0:53~1:07) → 上ノ原(2:07~2:25) → 二本杉峠(3:20) → 地蔵平(4:35~7:05) → 城ヶ尾峠(8:21~8:44) → モロクボ沢の頭(9:44~9:55) → 畦ヶ丸山(10:15~10:20) → 城ヶ尾峠(11:46~12:14) → 神地(13:30) → 唐沢小学校前(13:55~15:40)


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