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丹沢塔の岳集中山行 表尾根
小沢 正美

山行日 1962年3月25日
メンバー (L)小沢、林(徹)、田ヶ谷、福地、浦島

 大秦野で水無、鍋割等各班と塔ノ岳での再開を約し見送る。丹沢で最もポピュラーな表尾根をご多分に漏れず大変な混みようで臨時バスで運ばれた我々は蓑毛を長蛇の後に春岳沢に沿って続く。昨夜の春雪が朝日を受けて溶け、登山道は取付きよりぐしゃぐしゃだ。春岳沢の堰堤を右に沢を渡ればすぐに1時間あまりの雪融けの急登がヤビツ峠に続き、汗ばんでくる頃、冷たい風の吹き抜ける峠へ出る。ガスが八方を覆って眺望も利かず、おまけに腰も下ろせずただうろうろするばかり。
 早々に峠を後にまたもぐしゃぐしゃの車道を下り、富士見橋を渡ってすぐ左手の杉林に入り雑木と笹と泥んこ尾根に二ノ塔目指し1ピッチ、U嬢の顔面に玉の汗が湧きグッとピッチが落ちる。ピッチを揃えるため、早くも二ノ塔中腹で昼食と相成った。
 12時35分、一段と積雪の多い三ノ塔にやっと着く。眼前に立ちはだかる巨大な大山の山容にしばし見入る。
 約束の時間が迫っている。長居は禁物と頂の直下のガレを左に泥んこの痩せ尾根を下りに下る。水無川より激しく吹き上げるガスは冷たい。幾つかのピークを過ぎ新大日岳に着いた時には14時は既に回っていた。約束の14時半にはとても塔の頂上は踏めそうにないので「遅れる」との伝言を林君に持たせそのまま先発として走らせる。
 ガスの晴れ間に木の間越し塔の頂きが真近にある。「塔は近い、ガンバレ!」と元気づけ、雪の一段と増した林間の尾根を急ぐ。木ノ又大日のピークを過ぎた頃、山本君の出迎えを受ける。本谷、源次郎、勘七と谷班は既に着いているが、我々と鍋割の尾根班がまだとのことだ「ガンバレ!」
 最後の急登で「モートー」の声と共に皆んなに迎えられ15時2分、福地、田ヶ谷、浦島、小沢と頂上を踏む。

〈コースタイム〉
蓑毛(9:15) → 春岳堰堤(9:35) → ヤビツ峠(10:20~10:25) → 富士見橋(10:45~10:50) → 二ノ塔(12:25) → 三ノ塔(12:35~12:45) → 新大日岳(14:20~14:25) → 塔ノ岳(15:02)


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