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塩見岳
渡部 武夫

山行日 1962年6月3日~5日
メンバー 渡部

6月3日 雨
 落合でバスを降りる頃、心配していた雨が降り出した。傘を差して2時間ばかりの道を塩川へ向かう。塩川で自動車道が切れ、鹿塩川の左岸へ渡り細道を1時間、南沢の出合に着く。いよいよ三伏への急登が始まる。時計を見ると3時。雨に濡れてツツジが美しい。1ピッチ、2ピッチと高度を稼ぐと本谷山のガレが大きく目前に迫る。三伏まで悪くても2ピッチ。今日中に着けそうである。しかし、今まで小降りであった雨が猛烈に降り出し、たちまちぐっしょりと濡れる。これでは行動ができぬ。行動かオカンか迷ったが、結局オカン。

6月4日 雨
 ツェルトを叩く激しい雨の音に目を覚ますと9時。下半身ズブ濡れで凄くだるい。クラッカーを口に入れてまた眠る。正午近く目を開けると雨は上がっていた。食欲のない口にパンとクラッカーをジュースで流し込み、ツェルトをたたんで三伏へ向かった。1ピッチ、意外に早く峠へ着く。峠に新しい小屋があったが旧三伏小屋へ向かう。小屋では1パーティが下山するところであったので、1日遅れることを家へ言付けを頼む。

5月5日 快晴
 薄雲があるがどうやら晴れた。雪投沢を下り大門沢を通って奈良田に出る予定であったが食料、天候とを見合わせると今日中に下山しなければならない。5時半、小屋を後にして塩見へ向かう。背負子に昼食を付けた軽装なので飛ばせる。樹林帯を過ぎ、這松を見過ごし、岩場を通り過ぎるともう塩見岳は足の下である。快晴になった空に青く浮かぶ富士がその美しさを誇っていた。中央、北、南のアルプス、丸い頭を駒の横に見せている蓼科山等、雲海の上に浮かんでいた。

〈コースタイム〉
6/3 落合(10:30) → 塩川(13:25~13:50) → 南沢出合(15:00) → オカン場(17:30)
6/4 オカン場(12:10) → 三伏峠(13:10) → 三伏小屋(13:45)
6/5 三伏小屋(5:30) → 本谷山(6:00) → 塩見岳(7:45~8:15) → 三伏小屋(10:25~11:40) → 三伏峠(12:10) → 南沢出合(13:40~13:50) → 鹿塩(16:50)

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