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高見石より天狗岳、夏沢峠
宮坂 和秀

山行日 1962年5月5日~6日
メンバー (L)宮坂、諏訪、播磨、溝越、印牧

 連休の新宿駅は登山者で物凄い混雑だった。23時45分の行列中に並ぶこととしたので、会の小旗を傘につけて先頭から後尾まで二往復ほどしてみたが見つからない。何本も臨時列車が出ているので、もしやと思って次の中野発の行列まで見にいったがこれも見つからない。また新宿まで引き返した時には発車時刻10分前だった。超満員でとても乗れそうにもなかったが一応デッキにすがりついてみたらどうにか乗ることができた。
 大月で室内に入り甲府までは立ち通し、怪しまれた天候は遂に崩れて本降りとなってしまった。茅野駅に着いたのは6時10分。連中はこの列車には乗っていなかった。最終の0時50分発の列車で来なかったら上諏訪の父の家へ行こうと思ったら、その列車で4人やって来た。
 この雨では予定通り決行することは無理なので変更することとして、コースを検討。結局、逆に高見石から登ることにして渋の湯泊りと決めた。バスは1時20分までなので待合室で待つ。この日は諏訪神社の御柱祭(おんばしら)なので待合室は雨宿りと乗降客で一杯だった。結局、汽車に乗った時間が6時間、茅野駅で待ったのが7時間という記録である。
 バスが出る頃には雨が上がり、青空が出たと思ったらぐんぐん回復に向かってきた。渋温泉の辰野旅館に着いた時には完全に快晴になってしまった。夕食後、赤岳の見える所まで登ってみた。
 次の日は6時半出発。好転に恵まれたことを感謝した。渋の湯を経て一汗かくと賽の河原に出る。ここから高見石までは一投足である。小屋の裏手の岩の上で小休して展望を楽しむ。眼の前の中山は立派な山容を示している。
 小屋まで戻ってやや下って中山の登りにかかる。この辺りから残雪が豊富であり道形に踏まれた所以外はずぶずぶ潜るので歩きづらい。中山からは浅間の噴煙がよく見えた。
 中山峠から東天狗、西天狗を望みながら登る。係は御老体なのでなかなか辛い。やっとの思いで到着した天狗岳(東天狗)の頂上岩峰で昼食にする。ここの展望は素晴らしい。
 がらがらした天狗を下りきって次は根石岳で再び森林帯に入る。残雪の道を箕冠山を越えて夏沢峠に下り着く。ここは二軒の小屋が佐久側と諏訪側に向かい合って建っている。荒々しい火口壁を抱いた硫黄岳が圧巻である。
小休した後、1時半茅野へ向けて下り始める。残雪があるので下りは早くて楽だ。日射しの強い西陽を受けながらひたすら下る。単調な道を「なんたってこんなに長いんだろう」とぼやきながら、いい加減に腹が立ってきた頃、やっと北槻ノ木橋に着く。峠から3時間の行程だ。上槻ノ木からバスが出ているが時間が悪いので泉野まで足を延ばす。御柱の祭りなのでバスが増発されていたので助かった。
 茅野からの乗車は祭りの帰途とかち合ったため一苦労したが、富士見を過ぎた辺りより楽になり、韮崎から全員が座ることができた。

〈コースタイム〉
5/5 茅野駅(13:20) → 渋温泉(辰野旅館)(15:00)
5/6 渋温泉(6:30) → 御殿の湯(7:03~7:13) → 中山峠分岐(7:23) → 賽の河原(8:30) → 高見石(8:55~9:10) → 中山(10:10) → 中山峠(10:25) → 天狗岳(11:30~12:30) → 根石岳(12:40) → 箕冠山(12:55) → 夏沢峠(13:15~13:30) → オーレン小屋(13:47) → 夏沢鉱泉(14:40) → 北槻ノ木橋(16:25~16:35) → 上槻ノ木(16:55) → 泉野(17:15) → 茅野駅(17:50)

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