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八ヶ岳大門沢
小島 作蔵

山行日 1962年7月15日
メンバー (L)小島、小沢、原口、山越、花岡、三村、野田

 汽車が遅れたが予定通りのコースをとり清里駅を発つ。太陽の照りつける暑さの中を県堺尾根に向かって歩く。昨年の今頃オカンした飯場の近くまで来た時、天気が急変して大粒の雨が降り始めた。しばらく思案したが行ける所まで行こうと予定通り歩くことにした。大門沢の枝沢を左に見てしばらく歩く。晴れていれば前方に赤岳の雄姿が見えるのだが、あいにくの天気で裾野の部分がやっと見える状態である。
 やがて尾根の分岐に出た。ここから倒木の多い枝沢を一本越し低い尾根を越えて本沢に入り遡行にかかる。前日も雨だったためか水量が多いように感じた。しかし、遡行には全然差し支えない。時折雨がぱらつく悪コンデションだが各人元気に登行している。殺風景なゴーロを行くとやがて左右から沢が入り右の沢にルートを取る。この辺りからやっと沢らしい歩きとなる。最初の滝を軽く直登。尚も次々に現れる小滝を越えて高度を増していくと左右より滝の落ちている二俣に出る、共に10mほどの滝であるが右の滝を登り更に高度を増していく。周囲はガスがかかり見通しが全然利かない。時折風によってガスが晴れ見通しが良くなることもある。いつか草付きの急な斜面を登っており更に県堺尾根の直下の草付きにいるような気がした。予定のルートより違う所を登っているような気がすると後方より山越君の意見が出る。ルート確認をしようと思うがガスのため目印の岩峰が見えないので晴れるまで小休止、やがてガスが晴れ遥か左に目印の岩峰。我々の位置はCルンゼを越した草付きの斜面にいることを発見。直ちに草付き斜面をトラバースしてCルンゼに入った。
 Cルンゼに入って最初に現れた7mくらいのV字状の壁の滝、小沢さん、山越君、花岡君の3名が直登を試み、残りは右の壁を高巻く。その上にまた滝がかかっており直登組は直登、高巻き組は高巻き各々上に出た。そこから尚も浮石に注意して行くと前方にチムニーが現れた。落石が多いので2名ずつ登ることにし、トップに原口、三村の両君が登る。各人後に続いた。全員登り切る。後は藪の中をトラバースして県界尾根に出て赤岳そして真教寺尾根のコースをとり下ったが、途中迷って原生林の中をずぶ濡れにならながら大門沢の出合に出て、清里までハイスピードで降りた。

〈コースタイム〉
清里発(9:05) → 県界尾根分岐(12:00) → A・Cルンゼ分岐(13:10) → 県界尾根(14:40) → 赤岳頂上(15:00) → 清里(18:15)


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