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鉄砲木の頭
宮坂 和秀

山行日 1962年7月8日
メンバー (L)宮坂、内藤、諏訪、小河、山本(勝)

7月8日(快晴)
 鉄砲木の頭というのは山中湖畔にある明朗な山である。丹沢山塊の西端にある山で湖畔ではパノラマ台と呼ばれている山である。
 小田急で新松田乗り換え、御殿場線の駿河小山駅で下車する。我々グループの他には単独行の登山者がいただけである。彼は水ノ木沢より菰釣山に登るのだそうで広河原まで同行した。
 今回は若い人達に研究山行として地図の見方を研究させるため、係が後について案内してもらったが、分岐点毎に研究しては違う方に入ったりして間違っていた。自信をもって一人歩きできるのはいつの日か。
 藤曲から柳島に入り小祠の横を通って峰坂峠に立ち、ユズク川側の草深い小道を下って土沢のほとり広河原に着く。小屋跡は草ぼうぼうであり、付近から戸板を持ってきて3時間ほどの仮眠をとる。
 6時半出発。吊橋を渡って浅瀬からの森林鉄道のトロ軌道上を渡って歩く。内藤君はトップを歩いていたので機関車よろしく鉄橋を渡るたびに「ポッポー」とやっていた。
 本谷に架かった17号橋梁を渡った所が水の木である。ここで朝食にありついて一休みする。鉄路の上で休んでいたら上からトロッコに人が4人あまり乗って下ってきたので慌てて急停止してもらい助かった。食後、大棚沢の大棚を見る。やや下った所から見る訳だがなかなか立派な滝である。
 大棚沢に沿って行くとパラジマ沢が出合い小屋の前から迂回して日陰沢を渡り、切通し沢に入って行く。山伏峠方面から明神峠へ向かう送電線の下を潜ると間もなく沢を渡って右岸の尾根に取付く。約30分の登りで切通峠に着く。ここは切通しになっているのでそう呼ばれているが、元来は火燃し峠とも公御坂峠とも呼ばれていた。
 ここから小登りして左への立派な道と分かれて草深い尾根道に入る。昨日の雨で膝から下がぐっしょり濡れてしまった。大岩の頭に立つと待望の鉄砲木が見える。
 鉄砲木の頂上は石の立派な小祠があり山中湖を見下ろす位置に鳥居が建っている。勿論山中湖の向こうには雄大な裾を引いた富士山が見えるはずだが、今日は生憎とガスに取り巻かれて姿を見せない。時折晴れて湖水を走るモーターボートが見聞きされた。パノラマ台と言われるだけに展望絶佳なはずなのに甚だ残念だった。

〈コースタイム〉
駿河小山駅(23:50) → 柳島(0:50) → 峰坂峠(2:15) → 広河原(3:05~6:30) → 水ノ木(7:15~7:50) → パラジマ沢(8:45) → 切通峠(9:42~10:10) → 大岩の頭(10:30) → 鉄砲木の頭(11:00~12:07) → 平野(12:40~13:05) → 旭岳(13:40~13:45) → 富士吉田駅(14:27)


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