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八ヶ岳赤岳沢
渡部 武夫

山行日 1962年10月21日
メンバー (L)渡部、上村、横田

 相変わらず満員の夜行列車で小淵沢に着き、ここでも超満員の小海線へ乗り換える。
 錦秋の八ヶ岳の裾野を約1時間、寒さに震えあがっていた体がじっとりと汗ばんでくる頃、地獄谷の河原へ降り立つ。一休みして食事をしていると待望の晴間が見え始める。河原を歩くうちにも晴間はぐんぐん広がり奇異な大天狗、小天狗の岩峰が青空に突き立っている。
 やがて倒木とガレを沢いっぱいに押し出した赤岳沢出合に着く。が、案内書にあるケルンはなく対岸にセルロイド製のくす玉が遭難碑に飾ってあった。大小の岩に跨った倒木を乗り越え、潜りながら進むと右からスラブ状の沢が入る。尚も倒木の中を進むと大滝の前に出た。案内書によると四段の滝となっているのだが、実際には2mほどの滝が3m間隔で現れ、その上に20mの滝があるのみだ。右の踏み跡に入り高捲く。
 ここから先は案内書の通りに滝が現れ、案内書に説明されているルートで登る。ホールドは細かいが硬くがっちりとしている。ほとんどの滝をフリクションで快適に登る。三ツ道具は一度も使わず、ザイルもせっかく持ってきたのだからと二度ほど気休めに使ったまでのことだ。さして困難な滝場もなくガレ状の奥壁にぶつかる。幾度も登っている赤岳の頂上は敬遠して真教寺尾根へ這松漕ぎをして逃れる。尾根からは青い屋根の八ヶ岳ロッジを目指し駆け下った。

〈コースタイム〉
清里(6:30) → 地獄谷(7:45~8:15) → 赤岳沢出合(8:50) → 大滝下(10:50) → 稜線(13:20~13:45) → 八ヶ岳ロッジ(16:10)


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