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大室山
宮坂 和秀

山行日 1962年10月13日~14日
メンバー (L)宮坂、諏訪、大塚

 小田急で新松田に到着すると間もなく中川温泉行のバスが出発する。終点の中川温泉でラーメンで腹ごしらえして三人で歩き始める。気遣われた天候も明日を約束するかのように晴れ渡った星空だった。
 箒沢の部落に入ると部落の楽しみである大映画会が開かれていた。道路の中央にスクリーンが張られ、我々はその下を潜り抜けて通らなければならなかった。
 箒沢から出はずれると対岸に箒沢山荘を見ながら行くと間もなく対岸に渡り東沢の出合となる。我々の今夜の宿は、この東沢を渡って5分くらい行った所にある。この小屋ー―と言うよりヒュッテと言った方がよいかーーは、37年の4月に建てられたかなり立派なものである。二階は9室くらいあって全部二段で4人まで寝られるようになっていた。室の名称には大室山、白石峠、東沢、西沢と言った山名や沢名が付けられてある。近代的設備で楽しい夢が得られた。
 朝起きると昨夜の期待に反してガスが立ち込めて一寸不安だった。7時少々前に出発。用木沢で犬越路への道と分かれ、少々登ったモロクボ沢から山道となる。白石峠付近は濃い霧に覆われ、こりゃ雨にやられるぞと思っているうちにパラパラとやって来た。先行者があったが途中で追い抜き、魚留の滝上で少憩、露払いに彼等を先にやらせようと思ったが、やはり我々と同じ所で休憩するので諦めて雨具を着けて歩き出す。
 白石峠に着く頃には膝から下が相当濡れてしまった。予定の畦ヶ丸はまたしても雨に祟られてしまった。協議の末、再挙を期して大室山へ向かうことにした。破風口辺りから雨も激しくなり視界もゼロになった。止むを得ない、ただ登るのみ。
 大室山の肩に着いたのは10時40分、同行の諏訪、大塚の両君は流石に若い、僕がパンで簡単に食事をしている間に頂上へ往復してきた。ゆっくりと休憩することも出来ず、ずぶ濡れの身をそそくさと再び藪の中に潜らなければならなかった。スズ竹の中を約40分ひた下りに下ると犬越路に着くことができた。この辺りからは雨も止み(というよりは雲界を脱して)コシッパ沢へ下らず、一ノ沢の出合に下る新道を通って間もなく用木沢の出合で今朝やって来た自動車道路に出た。再び箒沢を経て中川温泉に着き、昨夜のラーメン屋で焼酎で体内を温めバスの人となった。

〈コースタイム〉
10/13 新松田駅(18:55) → 中川温泉(20:20~20:37) → 箒沢(21:17) → 箒沢山の家(21:45)(泊)
10/14 箒沢山の家(6:55) → 用木沢(7:15) → 魚留の滝(8:15~8:30) → 白石峠(9:05~9:15) → 加入道山(9:35) → 破風口(10:00~10:07) → 大室山の肩(10:40~10:55) → 犬越路(11:40~11:46) → 一の沢(12:15) → 用木沢(12:30) → 箒沢(13:30) → 中川温泉(14:10~14:45) → 新松田駅(16:00)

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