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丹沢同角沢
花岡 孝

山行日 1963年2月3日
メンバー (L)花岡、横田

 2月3日(曇時々晴)
 すっかり夜が明けてから出発。雪が降っているが大したことはない。約1時間半で出合に着く。雪で真白になった沢に降り遡行を開始する。
 ダムを過ぎる頃から沢床は完全に凍り水音も聞こえない。所々凍らずに沢床が出ている程度である。間もなく三重の滝が現れる。これは鎖が張ってあるので簡単に通過、続いて不動の滝となる。この滝は所々つららとなっているが殆ど露出している。左側のバンドをトラバース気味に登り、通常ならば水を浴びて右に渡るのだが部分的に凍っているため通過できない。仕方なく上のややハングした部分を登る。ハーケンを4本程打ちアブミを使用して乗り切る。この上も厄介で左に5m程トラバース、右上に直上するのだが岩が脆くだましだましハーケンを打ち通過。ここでスリップすればハーケンはすっ飛んでしまうことだろう。1時間かかってやっと落口に立つことが出来た。ここからは見事なブルーアイスでアイゼンでもあればとても快適だろうと思われる。右から大杉沢を入れ、行水の滝は凍っていなかったが濡れずに通過する。
 やがて第三の滝、無名の棚となる。これも直登することにし、下で一本立てる。不動の滝と同様、凍っておらず水が流れている。さて直登は水の左側にハーケンを2本打ち行き詰る。水の右側に残置が見えるが水を浴びてトラバースしなければならない。思い切ってトラバース、びしょびしょに濡れてしまう。右のルンゼ状にハーケンを3本打ち一気に落口まで登ってしまう。下の横田君も大分悲痛な声を上げて登って来た。この直登に下着まで濡れてしまい泣きたい思いだ、遺言棚の下で焚火をし着物を乾かす。
 遺言棚は土手のような感じであまり登る気がせず、右側より高捲いてしまう。落口から東沢乗越は一投足だ。が、ここから小川谷山荘までがとても長く、まだかまだかと思っているうちやっと着いた。
 昨日、谷峨の駅に降りた登山者は我々だけであったが玄倉からの帰りのバスはほぼ満員といった状態である。どこから集まってくるのだろうか?

〈コースタイム〉
谷峨駅(23:40) → 神縄(12:15) → 玄倉(1:50) → 小屋(2:00~5:30) → 小川谷出合(5:40) → 同角沢出合(7:00~7:30) → 遺言棚(12:30~13:15) → 玄倉(15:45)


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