トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ168号目次

雲竜渓谷
三村 重義

山行日 1963年2月10日
メンバー (L)三村、原口、佐藤(昇)、山本(敬)、花岡

 鹿沼駅を過ぎる頃、寒さと雑音で目が覚める。間もなく日光駅に到着、佐藤氏を探すため東武駅に行くが見当たらない。皆がっかりしてしまう、今日は偵察にしようかという声も出てくる。
 日光の暗い街道を歩いて神橋に着く。と、佐藤氏のモートーの声、皆元気が出る。メンバー全員が揃い、苦戦するであろう所に行く気持ちの重さ。上曽、岡野両氏のアドバイスを参考に装備も大分多く持ってきた。稲荷川の吊橋を渡り左岸を10分ほど行き右岸に渡る(東照宮に入ると迷うと思い、稲荷川にルートを取る)。林道を小米平まで行き左岸に渡渉する。ここで転びずぶ濡れになった人も大分いる。
 不動小屋に着き身支度をし登行を開始する。早川谷に入り左右側壁の脆い岩につららが下がり、雲竜ならではの光景だ。
 友知らずを高捲き雲竜漠基部に着く。コーヒーを飲みながら女性を交えたパーティのアプザイレンに暫く見入る。
 尚も奥へ行くとY字峡となる。右側にアガナ沢を左七ツ滝沢に入る。50mほど登り歩ダリ側のルンゼにルートを取る。あんなに人の多かった友知らずに比べて、ここはまた何と人の少ない所だろうと思う。右側支稜に取付き2、30分で上に出る、本日の登攀らしき所でここだけザイルを使用。ここを過ぎると後は尾根に出るだけと気楽なものだ。原口、山本、花岡君達のファイトは凄いものだった。佐藤氏と私は女峰、赤薙両山の姿を見ては歩きの登り、皆様方に追いつくことができず2時間のアルバイトの後、黒岩尾根に着く、今日の登行に皆、思い思いの心境で下山。
 東照宮の裏側より境内に入る。三仏堂で写真を写したり、見学したり良き山行のフィナーレだ。東照宮からタクシーに乗り駅へ。駅に着くと運よくすぐ電車が出た。これで無事雲竜渓谷の山行に終止符を打つ。

〈コースタイム〉
日光駅(4:50) → 小米平(7:10) → 早川谷(9:00) → 友知らず(9:30~11:30) → 黒岩尾根取付(12:00) → 尾根上(14:00) → 林道(15:30) → 日光駅(16:30)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ168号目次