トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ172号目次

八風山と神津牧場
宮坂 和秀

山行日 1963年6月30日
メンバー (L)宮坂、内田、大村

 夜行列車はとうとう座ることもできず、デッキに腰を下ろしていくことになった。6月も末ともなれば寒いということはない。
 軽井沢の駅に降り立ったのは、さすがに冷え冷えとした薄暗い時で、中軽井沢方面に向かって最初の踏切を渡れば軽井沢湖に向かう一本道だ。高原別荘地だけにこの辺りは舗装されているので歩きよい。振り返れば浅間山が雲か噴煙か、ちょっぴり頭だけ隠して雄大な裾を見せている。別荘客であろう、2~3人軽快なスポーツ車で銀輪をひらめかして行く。素敵なゴルフ場があり、軽井沢湖の入口で朝食を摂って馬取萱部落を過ぎて峠を越えれば上発地に入る。ここから沢沿いの道を取り登りとなる。最近の温暖に急に現れたセミの鳴声のやかましいこと、蝉時雨とはよく言ったものだと感心する。
 一汗かくほどのこともなく八風山に登り着く。覗標の櫓が建っていた。神津牧場、荒船山方面は勿論のこと妙義、浅間山と展望が良い。快晴で初夏の日差しはじりじりと暑く、夜行の疲れが出て三人とも暑い太陽の下で1時間ほども昼寝をしてしまった。
 矢川峠から香坂峠へと緩やかな起伏が続いている。志賀越付近では牛が10頭くらいたむろしており、その中を通り抜けるのは一寸気味が悪かった。『妙な奴が三人来たぞ』とでも言いたげにじろじろ見ている。
 物見山に12時着、ここも日陰がなく、目の下には物見ロッジが箱庭のように見え1時間の大休止の後、ロッジ目指して下った。牛乳ならぬビールで乾杯の後、ご機嫌で始発バスに揺られて下仁田駅へと下った。

〈コースタイム〉
軽井沢駅(5:20) → 軽井沢湖入口(6:55~7:30) → 馬取萱(7:40) → 上発地(8:00) → 八風山(9:20~10:15) → 矢川峠(10:55~11:10) → 香坂峠(11:35) → 志賀越(11:50) → 物見山(12:05~13:00) → 物見山ロッジ(13:20~14:20) → 下仁田駅(16:00)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ172号目次