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比良連山
渡辺 靖彦

山行日 1963年11月1日
メンバー 渡辺、湯本

 比良と言っても『日本の山かい?』と言うくらい東京の人々には、なじみが薄い近畿の山です。一口に言ってしまうならば東京の丹沢、東海の鈴鹿といったような存在です。いまだに弟には熊が出ると聞くくらい割合に谷が深く、非常に木が多い山です。展望は眼下に琵琶湖を、更に伊吹山等が眺められます。この山へ我々は11月1日に足を向けました。朝、目を覚まして驚いた、お日様の涙がポツリポツリと落ちてきた。金と暇の余裕がないのに、小雨になるまで待ち、10時頃バスに乗り出発、更にリフト、ロープウェイを乗り換え北比良峠へ(三峰の会員の風上にも置けない奴とご立腹のことでしょうが、何分遅れたもので、その上美人同伴だったものでして)。この頃には雨も上がり眼下に琵琶湖が静かなたたずまいを見せてくれた。ロープウェイで女学生の団体と一緒になり、我々は隅で小さくなっており眺めを楽しむどころではなかった。そんな過程を経て峠へ着く。そこからダラダラ道を登り八雲ヶ原(キャンプ場)へ、更に水場で一息入れて武奈ヶ岳(1,300m)へ一気に登る。さして苦しい登りではないが、昨日の食中りのためか幾分バテ気味で、その上途中遭う人の関西弁で何となくファイトが出ない。山頂に立つと全てを忘れ、素晴らしい眺めに魅せられる。琵琶湖と周囲に色々な山が眺められた。しかし、天候が悪化し雨がパラつき始めたので急いで縦走路を時間の許す限り歩くことにする。金糞峠、南比良峠へ、この間は木に囲まれ展望も悪かったが南比良峠へ出ると急に開けた展望に目を見張り、この青い空と湖の淡い感情にかられると同時に都会の灯が恋しくなり下山とする。下山の途中、大学や高校、山岳会所有の山小屋があり、羨ましい限り。
 比良の駅の傍に柿が成っていて我々の差し伸べる手を歓迎してくれた。ところがこの柿の渋いこと!!(誰も採らない訳だ)
 11月2日、湯本君と別れ独り彦根城を見て、犬山市に居る会員の長谷川姉に会うため岐阜駅へ(コネは大いに利用すべし)、半年振りである。丁度新潟に居る伊藤さんも来ており会の近況をお知らせする。その代償にとても我々には手の届かないような料理をご馳走になるし、また3人で岐阜城までハイキングをして楽しい一時を過ごした。
 地方に出て、寄る機会があったら顔を合わせて話し合おうではないか!!


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