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那須甲子縦走
三村 重義

山行日 1963年10月18日
メンバー 三村、他

 夕方近く白河発湯本行最終バスに乗る。4、5人の乗客と暗く成る山々を見ながら目的地へ。車窓より望む那須の峰、日が西に傾く頃の美しさは格別だ。山は姿を消すことなく永遠に山の愛好家に見せてくれることと思う。そのようなことを思いつつ終点に着いた。
 友の煙草の煙で目が覚める。7時40分発の高原行バスに乗るため旅館を7時頃出る。バス発着所には人影もない。暇つぶしに殺生石温泉等を見学する。思えば数年前初めて登ったこの山もアルプスに劣らず頂上直下までロープウェイが出来て我々を淋しがらせた。長い間逢わない伯母さん(硫黄精錬所)のところへ、会津の山を力説する伯母さんは山に登るために生まれてきた人だ。そのようなことを考えながら登るうちに峰の茶屋に着いた。ここから茶臼岳を往復、頂上はガスっておりその上雪が少々積もっていた。歩行速度も入院前にやっと近づいた。右手に旭岳を見ながら路清水手に足を進める。友達がバテ、しかたなく私がザックを背負い三本槍に着く。少し急な下り道を行くと鐘沼に出て、沼の峰頂上に登り、見下ろす鐘沼の美しさ、樹氷の美しさ、沼の青さは言葉では言い表せない。これより熊笹の道を進むが、左手に見える甲子旭岳の勇姿は見落とせぬところです。会津の山々と旭岳、訪れる登山者を引き付けるに充分でしょう。坊主沼に1時半頃着く、この辺り中央アルプスの奥念丈岳に似ているところがある。お花畑を過ぎ甲子山へ、ここで写真を撮り、4、5年前訪れた時の想い出にふける。甲子山から甲子温泉までの道は荒れており、森林帯を過ぎること2時間、爽やかな山行を楽しむことが出来た。


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