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三峰に入会して
藤田 昌

 「三峰山岳会に入会して」と題して何か一つ新人として書いてくれないかとの編集からの依頼、「かしこまりました」と言ったものの、さて何をどのように表現すべきかと3日ばかり頭を捻ったのですが、所詮弱い頭の私にはろくな考えすら浮かばぬ有様、切羽詰まって取り敢えずペンを取り、もうこの際私の現在感じていることを筆にまかせて徒然なるままに書き下ろすことに致しました。
 「徒然なるままに」!!冗談はさておいて私が当山岳会に入会したのが38年2月、早くも1ヶ年の月日が夢の如く過ぎ去りました。結論を急ぐようですが、私としてはやはり入会して良かったな、ということが現在の一番の実感と言えます。
 入会当時には思いもよらなかった山岳技術がこの1年間に一歩一歩と私の血となり肉となってきたように思えます。これはやはり当会の先輩の方々に教え込まれつつある貴重な技術であり、会の存在意義の一つであると思います。また、これは入会によってのみ得られる、会からの我々新人に対する贈り物とも言えます、そして日一日と自分に山が近づき山との対決が厳しくなりました。それだけにこれからの山行、勉強がどんなに面白く、またどんなに苦しいものかと想像すると、意欲と不安が胸にうずいてきます。私は当会に入会したからには会のため、また山を愛する一人として正しい技術と山のモラルを身につけ常に研究、進歩を望んで努力しようと思っています。しかし、実社会生活に於いても、理想に近づく行動の難しさに誰しも泣かされているのが人間社会の姿であるとすると、考えるほどにはそうすらすらと出来るものではなさそうです。唯あるものに向かっての「意欲」はスタートの時とほぼ変わらぬ形で持ち続けることはできそうに思えます。
 どうやら話がもつれてきそうで、私自身うろたえ気味ですが、以上は私にも当会の一員としてのファイトは充分にあるという私自身に対する能書きと致しまして...。
 何はともあれ最近の私自身の生活に山が徐々に溶け込みつつあると言えることです。私に何か安らぎと充実の感じをもたらす力を与えてくれます。これは多分、仲間がそこに居るということによって、各自にもたらされるものであるのかも知れません。それとも生まれつきの山好きのためなのだろうかと考えたりしております、と言うのはまだ小学校3年生の頃、家の裏の松山へ(福島県)一人で入り込み、キノコを見つけたり、そしてある日は冒険心に駆り立てられて松林を掻き分け掻き分け遂に松山の裏側に鉄道が遥かに見えた時の興奮が今でも思い出せるからである。
 現在は一サラリーマンとして参加しておりますので体力的な備えが常に問題となります。「備えあれば憂いなし」とはよく言ったもので、きついアルバイトを強いられる登山に於いて筋肉痙攣は致命的ですから、会社での昼休み等出来る限りトレーニングに励んでいる次第です。これがまた、我々の楽しみともなっているのです。
 単独行も良い面がありますが、現在私はパーティ山行により学ぶ麺の方がはるかに大切であり、大きいということを入会により得た最大の収穫であると思っています。


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