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所感
宮坂 和秀

 年改まり昭和39年を迎えた。三が日とも実に穏やかな良い日であった。年頭のような日々が今年も続いてもらいたいものである、少なくとも山へ行っている間だけでもと願うのは図々しい考えだとは思わない。山を歩く者にとって天候は総てを左右するからだ。天候ばかりではない。事故も然り。昨年は山越君の雪崩による遭難事故があった。30年も続いてきた伝統ある当会は戦前にも事故はあった。しかし、戦後は昨年の山越君の事故のみであった。今からは遭難事故は絶無を期そう。漫然と山に登り、漫然と駄弁り、そして漫然と山から帰ってくる、その「漫然」が遭難を招くのではなかろうか。
 以前誰かが「なぜ山に登るのか?」と尋ねられた時、「そこに山があるからだ」とこたえたそうだが、私は気に入らない文句だと思っている。「そこに山があるから」登るのではなくて山が好きだから登るのであって、好きだからこそ山を研究し、注視し、十分な注意を払って歩き登るのでなくてはならない。絶えざる訓練と研究こそが遭難から身を救う第一歩でなくてはならない。
 今年は辰年である。昇竜の勢いで進もう。そして会の発展に努力しようではないか。


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