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奥多摩つづら岩
牧野 盛治

山行日 1964年1月19日
メンバー (L)牧野、花岡、播磨

 新宿を朝発ち、五日市線、バスと乗り継いで見事な滝の下に立つ。ここから道は急峻となり、滑りつまろびつしてようやく尾根に飛び出す。千足から1時間半。つづら岩では1パーティ岩に取っ付いていてぴトンの歌声を響かせている。早速我々もと意気軒昂ぶりを見せるが、初めてのこととてザイルの結び方から教わり、やがて岩に噛り付き第一バンドに出てトラバース、途中にある松の木をピンにしてアプザイレン。それを2、3回繰り返して場所を変える。日陰の岩でブルブル震えながら、登っては下りの連続。昼食後、つづら岩を完登すべく取付く。
 基部から第一バンドに出、それを直上する。トップはハーケン1枚も使わず気持ち良さそうにスイスイと登って行くがザイルはいっぱいに延び切ってしまい恐れをなすが、ここから下っては男が廃るとばかりヒイヒイ言いながら登る。第二バンド直下で落ちそうになるが、ザイルにすがってずり上がる。第三バンドに出ると上まではもう間もない、腕力でどうやらこうやら岩峰上へ。基部に降り立ち、岩峰の左手のチムニーを目指す。下部は脆いザラザラの岩で苦労するが、後はツルツルの一枚岩のチムニー。デカイ図体が小さな個所に入り込むのだから大変。ようやく上のバンドに出てトラバースして基部に下る。今日の練習はこれまでで、キャアキャア言いながらの岩登りもまた格別なものである。後は千足まで一目散、バスには乗り遅れたが先ずはご機嫌な一日であった。


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