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五竜岳
山本 敬三

山行日 1964年3月19日~22日
メンバー (L)山本、小沢、野田、別所、溝越、中山、小池、他1名

3月19日(快晴)
 大糸線の車窓からの鹿島槍の遠望は素晴らしいものだった。昨年より幾分雪が多いようだ。神城駅で下車、スキー場までは迷わず歩く。スキー場の右側の急な尾根を登る。天気が良く風もないので、汗が滴り落ちる。しばらく登るとなだらかになり遠見小屋へと出る。小屋はスキー場としても立派なくらい広い所にある。小屋の脇を通り急な尾根を登ると、視界が開けて白馬三山が美しい容姿を現す。小遠見へ登ると待望の鹿島槍北壁が目前に聳えている。幕営は中遠見付近に決める。

3月20日(吹雪)停滞
 朝、外を見てがっかりした。昨日とは打って変わって猛烈に吹雪いている。冬山の本性を現した。今日は停滞、朝食後シュラフに潜り込む。昨日横着してブロックを積まなかったため、風当たりが強い。降雪量も多く、1時間交代で除雪作業をする。夜も一晩中唸っていた。

3月21日(雪)停滞
 風は大分収まったが、雪は相変わらず降っている。停滞も2日目となるとうんざりする。午後から雪も止んだので大遠見まで偵察に出かける。夕方になってやっと空も晴れ上がり、明日は絶対に晴れると確信して登頂の用意を済ませ早めに寝る。

3月22日(雪)
 今日は登頂して下山しなければならないので、食当には2時に起きてもらった。しかし、天候は意外にも崩れ雪が降っていてがっかりした。2日間もねばって登れないなんて悔しいやら腹が立つやら。天候には勝てずテントを撤収、下山の用意をする。風が相当強く吹いている。小遠見の稜線は立って歩けないほど強い。小池、小沢さんらが大分遅れているが、風のない所まで前進する。遠見小屋へ着いた時はホッと胸をなでおろした。それだけ緊張の連続だった。1時間くらいで小沢さんらも無事降りてきた。法政ヒュッテでお世話になり、一目散に駅へと下った。

〈コースタイム〉
3/19 神城(8:15) → 遠見小屋(11:20~12:20) → 小遠見(14:40) → 幕営地(14:50)
3/20 停滞
3/21 停滞
3/22 幕営地(7:00) → 遠見小屋(8:20~9:50) → スキー場(10:40~11:00) → 神城(11:30)

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