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大岳山集中登山 海沢谷コース
藤田 昌

山行日 1964年5月17日
メンバー 原口、藤田、浦島、椎名、他1名

 新宿駅7時に集合、但し正確に時計の針が7時を指した時は、原口さん、播磨さんと私(藤田)の3人が「この調子じゃ参加者は少ないね」と不安な顔を並べている有様だった。そして混雑の中をよく見ると椎名さんの顔が眼に入る。やがて山本(政)さん、浦島さんが元気な顔を見せる、浦島さんはスキー友達の五十嵐さんを連れてきた。これで計7名。まだ参加者が現れるかと7時45分まで待ったが、後はもう現れそうもないので乗車することにした。車中相談の結果、鋸尾根コースは唯一人なので播磨さんが同行することになり、残りの5名は全員海沢谷コースを取ることになる。
 山本、播磨の両君と頂上での再会を約して白丸駅に5名下車。5月の雲一つない真青な空。駅に立つと早、緑の山の香りが強く感じられる。多摩川沿いの海沢橋までのアスファルト道路は快晴の5月の太陽に、早くも陽炎でも立ちそうな感じだ。切ないばかりの初夏の有難さを味わいつつ海沢橋を渡る。鱒養魚場も透き通った水に無数の鱒の遊泳が美しい。
 1時間も平坦な道を辿るとさすがに5月とは言いながら夏山と同じに汗が流れる。幅広の道路も終点となり沢に潜り込んだ時は全員気分も一新。沢に取り付いてから20分も登ったろうか、三ツ釜の滝に出た所で休憩とする。2時間近くノンストップできたので女性3人もホッとした顔つきだ。ここで昼食を摂る。この三ツ釜の滝は、原口さんと私は左側を直登、女性3人は初めての人もいるので右側の巻道を取ってもらう。やがてネジレの滝(約15m)だ。この滝の右側を巻く岩場の登りでは、原口さんの三点確保の説明と女性のちょっと真剣な表情を拝見させていただいた。順調なペースで大滝下に到着小休止、さてこの大滝を乗越すには左側の巻道だが、この巻道を6~7m登った所で大滝に平行にかなり急な岩のゴツゴツ出た所を直登すれば良いものを、女性もいることだしそれにまた左への巻道もしっかりできているので、大きく巻いても直ぐに沢へ戻れるものと信じて先を急いだ。15~20分も行くと確かにこの巻道は沢の方へ回り始めたが...残念、それから先は行けども行けども海沢谷に入るどころか御岳山~大岳山間の尾根に向かって高度を稼ぐ一方だった。大滝から3ピッチで尾根道に出た時は既に3時半頃で、かなり御岳山寄りに突き上げてしまった。しかし、ウグイスの声とあちこちに咲くつつじ、むせ返るような緑を分けての登りは快適なものだった。4時頃大岳山頂到着、もう既に昼寝も済ませたという山本、播磨、内田さんの3人に迎えられる。バーナーでコーヒー、ココアとあるものは何でも良しの食欲を出して、腹の虫の収まったところで記念撮影の後御岳山へ向かって下山とする。
 5月の夕暮れの山々は美しい、皆の歌声もまたまた格別!。歌謡曲から童謡、そして各国民謡と実に多彩な合唱グループの下山となってしまう。贅沢を言うならあの夕暮れに月が顔を見せていたなら、また格別の味わいがあったろうに。

〈コースタイム〉
新宿駅(8:00) → 白丸駅(9:50~10:10) → 海沢谷(11:30) → 三ツ釜の滝(12:00~12:40) → ネジレの滝(13:00) → 八滝(13:20~13:30) → 御岳山からの尾根道(15:30) → 大岳山(16:00~17:00) → 御岳駅(19:30)


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