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猪苗代スキー
小沢 正美

山行日 1965年1月15日~17日
メンバー 小沢、他

 15日、ひたち銀峰号で風間さん、他2名と水戸を発ちスキー場へ。東の安達太良山の山脈が白んでくる頃、磐梯ロッジの前にバスが着く。眼前に広大な猪苗代湖が広がり三角形の磐梯山が朝日に紅に染まる。素晴らしい朝だ。一昨日からの雪も止んでシュプール一本見られないゲレンデに時折吹き抜ける風が粉雪を舞い上げる。我々の足跡だけがあるっきり。
 ゲレンデ中央の県営ヒュッテの裏に設営、朝食後混んできたゲレンデに飛び出し昼食も忘れてへとへとになるまで滑りまくった。いざ板を外して天幕に入れば、バーナーの子守唄でウトウト、それまでよ。
 午後は早々と切り上げ、今夜からの食料一切を町まで買い出しに出る。サブを背にロッジの裏の畑を突っ切り林を抜けて直カリですっ飛ぶ。裏街道を20分も滑ると猪苗代の町中に滑り込む。店先にスキーを立てかけ買い物をしていると野田君にばったり「ヨオッ」「天幕へ来いよ、ご馳走するぜ」磐梯国際スキー場の帰りとかで、この先の民宿に泊まる由。
 リフトは大変な混みようで長蛇の列、そこで例の裏街道を町まで20分の滑降を楽しみ、バス代15円也を払って再びスキー場へ、裏街道とフル運転のバスをリフト代わりにしている御仁がいたとか。夕食後は水銀灯に煌々と照らし出された中でボーゲンにクリスチャニアにと各自思い思いに練習し10時半までナイターを楽しむ。
 明けて今日は昨日にも増しての混みようだ。小雪の中を第一、第二リフトを乗り継ぎ快調な滑降で天幕に戻ると今、野田君が訪ねてきたが下ったとのこと、それっとばかりに追いかけたが青いヤッケはどこにも見当たらない。
 日中はどうもだめだ。夕食を早めに済ませナイターに備える。芋を洗うような日中の騒ぎも収まり、ガランとしたゲレンデの水銀灯の光の中を2、3の黒い影が右に左に大きく揺れる。僕のスキーもシュプールが細いS字を描くようになってきて快調だ。雪が激しくなってきた。もう11時だ。明日は例の裏街道を猪苗代の町に滑り込むだけだ。


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