トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ185号目次

初山行
小池 泰雄

 牧野氏から会うたびに脅迫されて、とうとう何かしら書くことになりました。
 あれは高校一年の夏休みでしたから、今から5年ばかり前のことになりますな。真新らしいザックにキャラバンシューズ。ザックの中は毛布、ハンゴー、食糧(とにかく米の他はカンズメばっかりで、今に比べりゃよっぽど高尚なものを食っていたようで)でギッシリ。たった3~4貫だったけれど、とにかくあの頃は重かったですね。
 家を出る時のオッカさんの心配そうな顔、今でも忘れないですね。新宿駅で友人と持ち合わせ、汽車に乗っかって塩山へ。目指すお山は大菩薩という訳です、ハイ。バスの終点の裂石から柳沢峠への道を暑い太陽に照らされてフーフー言っていると、見るに見かねたか通りがかりのトラックが捨ってくれてホット一息。
 峠から鶏冠山への誰一人いない山道をテクテクと。あの時鳥の声や、かすかな沢の音が作り出す静けさに荷の重さも忘れて、山っていいなあと思ったのです。
 さてその日は営林署の小屋(たしか泉水小屋とかいう名でした)へ泊り込み、思いがけずテンプラかなんかゴチソウになってゴキゲン。しかし次の日は冴えなかったですね。朝っぱらから雨に降られ、おまけに途中で道を間違え、やっと大菩薩嶺へ登り着いたら今度はガスに巻かれ、人のあとを追っかけて山小屋へ逃げ込んだというおそまつ。
 翠日は好天に恵まれ、石丸峠から小金沢山を越えて湯ノ沢峠へ、この間まるっきり人の姿にお目にかからなかったので、さすがに少々心細かったですね。しかし、そのあと峠から麓までが長いの長くないのって、ヒーヒー言いながら4時間もかかって初鹿野の駅に辿り着いた時は辺りは真っ暗。相棒と顔を見合わせて「バテタなあー」
 要するにそれでもコリなかったんですね。以上が私の初山行の一席。それではおあとがよろしいようで。
 次回は原口氏にお願いします。ガンバッテ下さい。 モートー


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ185号目次