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奥秩父を歩く 其の3(下) 笠取小屋~雁坂峠

 小屋の横から下る広い林道は斉木林道で、柳沢峠へ出る。一ノ瀬へは小屋の水場の下から続いており一休坂尾根を経て部落に出、犬切峠へ登り返して落合に出るコース。登りがわずらわしい人には、尾根通しに峠へ行く道があるが、入り口が判りにくい。静けさを満喫出来る道である。
 縦走路は斉木林道を少し登り、広い野原を横切って雁峠へと導く。斉木林道はここから滝川林道となり、川又へと続いている。この林道は近く国道になると聞いている。
 雁峠付近はシーズンにはスキーも出来よう。奥秩父でスキーの出来るのはここだけではないだろうか。但し、大菩薩周辺を奥秩父に含めるならば、大菩薩の狼平、乾徳の扇平等が可能かと思う。
 雁峠の正面に電光型の急登の道が見える。これを登るのかと思うとうんざりさせられるが、登ってみるとさほどでもない。ここから雁坂峠までは迷うこともない尾根上の一本道で、天気が良ければ展望を愉しみながら登り下りが出来よう。古札山山頂を巻いて、湿っぽい原生林の中を道が進んでいる。巻き終ってから再び登りとなり、やがて水晶山の山頂に立つ。枯木が乱立するここからの展望は素晴らしい。これから辿ろうとする甲武信、国師、そして金峰が一寸顔を出す。振り返れば雲取から笠取まで長く続いている。
 ここから雁坂峠まで下り一方。片面が明るい草原。それと対照的に反対側は原生林。雁坂小屋へはこの原生林の中を15分で辿り着く。水晶山からの下りの最低鞍部から小屋への近道がある。峠はこの遥か上の方にあり、およそ峠らしくない峠である。


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