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信州峠越え

山行日 1965年10月31日
メンバー 原口、内藤、山本(敬)、播磨、山本(義)、椎名、小林、牧野、他1名

 小雨降る信濃川上で「行こうか戻ろうか」の心境。朝の食事をしているうちに時々日が射し、ホンジャという訳でデッパツ。虹が美しく橋をかけ、胸を弾ませるが…広い車道を黙々と歩くこと3時間、ようやく峠に立つ。意外と車道歩きは疲れるもんだ。生憎の天気で展望も何もあったもんじゃない。紅葉も終り、静けさだけが取り得のこの峠も、小休止したらおサラバよ。どこまでも続くこの車道を陽気に下るが、しかしながら嫌になるね。時々晴れ間も見え始めるが展望はゼロ。見えぬ辺りが...と勝手に決め込んで黒森部落へ。所々に美事な紅葉が見られるが、一寸時期が遅すぎたようで全てくすんだ色となっている。黒森から金山へ抜けずにそのまま車道を塩川まで下ることにし、騒々しいパーティは行進を続ける。和田部落の辺で道の脇に適当な河原を見付け、本日のメインエベント、スキ焼とくる。中にはこれだけを愉しみに参加した御尽も居り、盛大に鍋を囲む。
 山で食べるスキ焼の味はまた格別、すっかり食べ尽くし、満タンの腹をかかえ、上下のまぶたが仲良くして来てもまた歩き続けなければならない悲しさ。これも山ヤの宿命であろうか。再び車道に挑む若者達も最初は元気が良い。オークラ映画の撮影者の内藤氏も多忙である。ウンザリしてくる頃ようやく塩川着。増富発のバスに乗り込んだのが丁度3時である。何のことはない、始めから終りまで徹頭徹尾広い車道を歩いたことになる。韮崎駅の待合室でトランプをやり、ガラガラもいいとこの車中でも車座になり、結局今日は山に登らず車道を5時間歩き、大いに喰って歌ってトランプに興じた一日であった。
 アーア山に登りてエなー。(オワリ)


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