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大室山、加入道山
小林 光

山行日 1966年1月9日
メンバー (L)宮坂、大村、五十嵐、今村、小林

 前夜7時20分新宿駅を離れた。新松田からの終バスに間に合わないために五十嵐さんと私は谷峨からタクシーを飛ばす。箒沢山荘過ぎてから丹沢の主、宮坂さんと大村さんに出合い、箒沢山の家まで行く。豪壮な山の家であった(ここで一泊)。山の家にはいち早く今村さんが来て居られました。
 9日、6時半起床、7時30分出発。風は冷たいが、実に気持ちが良い朝の大気を身に受けて歩く。途中、宮坂さんの靴が悲鳴をあげてしまった。ゴム底と本底が剥がれてしまったのである。年期の入った貫禄充分ではあったが(ちょっとそこらには無いでしょう、様々な思い出が刻み込まれていることでしょうから)、用意していたハリガネ等で巻きつけたりして修繕完了、これで安心。雪の山道を元気良く歩く。犬越路の途中に来た時、前方を荷を背負って炭焼人が登って行った。辺りの雪の情景と調和して、山の素朴さという感情を抱かせてくれました。頭中にはスケッチを納め何とも言えない気持であった。犬越路で1回目の小休止後大杉丸へ。ここからの展望ステキです。素晴らしく均整のとれた富士の麗姿にお目にかかれました。大室山分岐を越え、大室山へ。ここで侍ちに待った昼食にする。ガタガタ全身を震えさせる寒さ、甘味のおしるこを飲み暖かくなる。記念撮影の後、シリセードの面白さを味わいながら快調に加入道へ着く。10分小休止。白石峠より下りになる。道は凍っていてシリセードも出来なくなっていた。やがて夕闇に閉ざされた西丹沢バス停に到着、発車までには1時間余り待つのである。寒いので温かいものを要求する。ラーメンを作ることに決定、バスの中ヘバーナーを持ちこみ暫くはキッチンルームに早変り、ラーメンの夕食に舌つづみをうつ。日常は多分にインスタントなんかと侮どっていた気持も、こんな時には手速く出来るインスタント食品に改めて最敬礼する。心身共にゆとりが出来ていた。
 ようやくのことバスは発車、上下の瞼が仲よくなりいつの間にか眠っていた。気が付いた時は、降車する松田駅であった。宮坂さんが後日のためにと原町田経由へ私の為にわざわざ廻って下さいましたこと謝意の気持で一杯です。
 黒土の道と違って真白い山道を踏み歩くのも良いものです。楽しい山行でした。

〈コースタイム〉
箒沢山の家(7:30) → 犬越路(9:20~9:45) → 大杉丸(10:00) → 大室山(11:30~13:50) → 加入道山(14:45~14:55) → 白石峠(15:05~15:10) → 陽木沢出合(16:25) → 西丹沢バス停(17:20)


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