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マチガ沢本谷
斉藤 芳弘

山行日 1967年7月23日
メンバー (L)藤原、播磨、小池、山本(義)、佐藤(史)、鈴木、斉藤

 土合駅で夜明けを待つ間、コンクリートの上で寝る。蚊に食われて気が付くと明るくなっていた。歩き出すと天候が気になる、まったくツイテない。重く垂れ込めた雲から今にも雨粒が落ちそうな状態なので濡れる覚悟をせざるを得ない。
 マチガ沢出合に少数の人が休んでいるが、沢に入る人は少ないようである。まだ雪渓が残る沢を気持ち良く登って行く、この頃から不思議なことに天気は急変し、朝とは逆に青空になってくる。何となく沈んでいた気分がいっぺんにすっ飛んでしまった。
 大滝で休んでいる時、山義さんが足を痛めていることが判った。所々裂け目のある雪渓を再び登って行くと、沢の真中で雪渓を掘っている3人がいた。その時は気にも留めなかったが、一体何をしているのかは後になっても謎であった。
 雪渓は目の前で切れてしまっている。左側へ道を取り、トラバース気味に滝を登ってやっと冷たい水で昼食とする、ここまで来るといささか太陽が憎らしくなる。陽が強いのであらゆる色が強烈に感じられる。東南稜の岩肌もくっきりと見えるが、これからは滝の連続、登っても登っても近づかない、やっと基部が見えた頃は疲れて馬力不足、それでも最後の滝を越え基部に着く。ここで1時間待っても取付けそうにもなかったら本谷にする。始め順番を待っているパーティが少ないと思ったが、良く見ると岩の陰や沢で4~5パーティが順番を待っているので南東稜は絶望だろう、残念だ!
 マチガ沢のイメージは思ったより良かった。緑と岩の明るい谷で、どことなく男性的な感じがする。1時間過ぎたので本谷を行く。途中、風化している岩で訓練をする。この間一部の人が一ノ倉沢を見に行った。尾根で合流したのは1時頃だった、雷の音に気づきすぐ発ったが予報は的中、それから数十分後には物凄い夕立の中を滑りながら土合へと下った。


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