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入会の動機
渡辺 恵美子

 私がなぜ山に憧れたかを一つ書いてみたいと思います。
 初めて行ったのが妙義山、それが私の生まれて最初の山登りです。それまでは身体が弱く毎日が悲しい思いで暮らしていたのです。
 友達が楽しく遊びに行ってきた時の話を聞かされては羨ましくてならなかった。自分も行きたい、行けたらどんなに楽しいだろう...と考えずにはいられなかった。そして、早く丈夫になって皆と一緒に遊びたい...と、それはもうここには書けないほどです。きっと丈夫な人には弱い人の気持ちは解らないと思います。そういう時、そんなに行きたければと話があったので喜んで山へ行きました。
 その時、山を甘く見ていたのです。誰でも行けるからかも知れません。だから弱くても登れるだろうと思ったのです。それが行って初めてこんなに大変なのか、1時間も登らないうちにもう歩けなくなってしまいました。
 こんな急な道を思うと悲しくて来るのではなかった、家で寝ていた方が良かったとしみじみ思った(その時はね!)。ここまで来た以上一人では帰れないし、さあ困った。泣きたくなりました。もう足のほうが言うことを聞いてくれず、そこに座り込んでしまった。すると後ろの方からハッパをかけられてはまた登る(誰でも一度は経験したと思います)、登るのが辛かったのを今でもハッキリと覚えています。
 それでも何とか登ることが出来た時は、もう嬉しくて私にも登れたアーッと思わず声にしたのは一生忘れないだろう。身体が弱くても時間をかければ登れるんだと思う喜びはとても大きかった。
 登る時は夢中で、周囲を眺めるゆとりはなく、ここで初めて景色をゆっくり眺めた。自分が一番高い場所に居るのだから下山するのは嫌になったほどだ。山はこんなに良いものかと、不思議にもその時から好きになった。それから毎日は、どうしたら安心して行くことが出来るかと考えるようになり、それならばと、この会へ入会したのでした。
 無理な山は自分の体と病院との話し合いで行ったが、今は一人で行けるまでになったのはこの会に入ったからだ。もうスキー(上手ではありませんが)へも行ける身体、そして結婚も出来る身になれたのが嬉しくてなりません。それも三峰山岳会を知り、入会したお蔭です、今後も会に居たいと思っています。友達と別れるのが悲しいからです。それだけこの会には魅力があります。好きな山は今は行けず、残念ですがきっと行ける日を待つ気持ちになれました。
 最後に岩つばめ200号おめでとう。これからも300号目指してモートーして下さい。


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