はじめに
今回から私の担当で天気図の話を会報に載せていただくことになりました。大体1年間を目標に天気図の書き方から始まって、その分析、更に山岳気象の方まで話を進めてゆきたいと思います。私自身まだまだ勉強不足で至らない点が多々ありますが、そこは会員諸氏のお叱り覚悟でおりますので、よろしくお願い致します。
さて、私達の日常生活と気象とは密接な関係を持っております。文明がいかに発達しても気象という自然の力の前には如何ともできない。特に私達山を志す者にとっては気象が大きなウエイトを占めていることは先刻皆さんご存知のことでしょう。現状では私達は新聞の天気図またはラジオ、テレビの天気予報で天気を判断しているに過ぎません。もう一歩進んで、自ら天気予報を出せたらどれだけ愉しいでしょう。その山行もどれだけ面白くなるでしょう。例えば気象庁で「明日は北の風やや強く晴、時々曇りでところにより小雨」というように一般的な天気予報を発表しています。そこで「ところによって小雨」というのはどの辺か、風やや強くとはどのくらいの強さなのか、時々曇りというのは時間にしてどのくらいかあるいは何時頃か等の疑問が残ります。この解決として自分で天気図を書き、先の天気予報を参考にして、自分で予報を出すのです。これが天気予報を正確に知るために一番良いことでしょう。しかし、これ以上に良いことは常に天気の変化ということに関心を持つようになることです。山頂にかかってきた雲の動きから、天気図に現れていた前線が予報より早く接近してきたとか、あるいは北方に現れてきた暗黒の雲を見てすぐに寒冷前線の来襲を知るというように、天気図と実際の天気変化の関係を良くつかむことです。このように一寸した雲の動きや風の変化から早目に天気の移り変わりを知ることにより気象の急変による遭難を未然に防ぐことができるのです。しかし、そういうことは山岳気象という専門的分野に入ってきますので、その第一歩として天気図の書き方および分析から入ってゆきたいと思います。これによって一人でも多く天気図に関心を持っていただければ幸せと思います。それでは次回から実務に入ってゆきましょう。次回は気象通報の内容と風向について述べます。
尚、天気図用紙は牧野まで御申込み下さい。
また、気象通報の放送時間は下記の通り。
NHK(第2放送)
9:15~9:30
16:00~16:15
22:00~22:15
短波(NSB)
5:45~6:00
16:45~17:00
23:40~23:55