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天気図の話
牧野 盛冶

§1 気象通報の内容
 気象通報は(1)全国天気概況、(2)各地の天気、(3)船舶の報告、(4)漁業気象からなっていて、これらを15分間に放送するので、大変な速さになります。
 全国天気概況は気温の概略、海上の模様、気圧配置、天気分布を簡単に説明します。この概況で大体どのような天気図になるか、頭で想像してから、次の放送に入りましょう。
 各地の天気から天気図記入が始まります。各地の天気は台湾の東石垣島から始まり、日本本土を北上、千島列島から大陸を南下、台湾、フィリピンを通って最後に富士山と全部で55ヶ所が放送されます。この地名に各々風向、風力、天気、気圧、気温の順序で読み上げられます。例えば「石垣島では北北東の風、風力1で天気はくもり、気圧1018mb、気温18℃」といった具合です。
 (3)船舶の報告は海上の任意の点の風向、風力、天気及び気圧が放送されます。この船舶の報告では気温は放送されません。例えば「南支邦海の北緯16度東経116度では北の風、風力3、天気はれ気圧1013mb」といった具合で、ここで北緯、東経が出てきますが最初はまごつくことでしょう。しかし、天気図で各々10度毎に太線が引かれているし、緯度経度を放送する前に必らず、「本邦はるか東方海上の...」といったように大体の地名が放送されるので、慣れれば簡単に書けるでしょう。その放送された点に地点円と同じような円を書いて、風向その他を記入してゆけばよい訳です。
 (4)漁業気象は高気圧、低気圧、前線の位置、中心示度、進行方向、速度等が放送されます。詳しい事は後述することとして、以上の4項目で天気概況が終ります。
§2 風向
 読んで字の如く、風の吹いてくる方向のことです。ラジオの気象通報では風向を16の方向に分けて放送しております。つまり北から始まって北北東、北東、東北東、東、東南東、南東、南南東、南、南南西、南西、西南西、西、西北西、北西、北北西そして元の北に戻ります。これを16方位といいます。この16方位は風向の場合ばかりでなく、高低気圧や前線の移動をいう時にも使います。また風は後述しますが、天気の変化に最も関係の大きいものですからよく覚えるようにして下さい、尚、記入する時は南北は経度線に東西は緯度線に平行な方向ですから間違いのないようにして下さい。
 次回は風力、天気、気圧と気温を説明します。


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