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八ヶ岳赤岳
播磨 忠

山行日 1969年1月1日~4日
メンバー 播磨、鈴木、山本(義)

 冬山合宿が中止と決まり、鈴木、山本と私で正月大した予定も無いので、何処かへ行こうと話がまとまり、八ヶ岳へ出かけることにした。行動予定は、1月1日から4日までとし、行者小屋付近に天幕を張り、前後各1日を入下山にとり、中2日で赤岳、阿弥陀岳に往復という、一番一般的なコースをとる事にしました。
 さて、大晦日の晩に、意外と空いている最終の鈍行で、新宿駅を出発、さすがこの列車には、登山客が大部分で、スキー客はちらほら、それも殆んどが大荷物なので、目的地は奥秩父か、八ヶ岳か、思った通り韮崎と茅野で殆んどが下車した。
 1日、美濃戸口で満員のバスから開放された我々は、朝食を済ませていよいよ出発。空模様は、生憎どんよりと曇っていて、今にも雪が舞って来そうな様子、勿論目的の八ヶ岳連峰は厚い雲に隠れて見えるはずもなく、ただ黙々と重荷を背負って歩くだけ、それも美濃戸を過ぎて、柳川南沢に入る辺りから雪になり、登るに従って激しくなり風も出て来て、寒さも増して来たので、行者小屋よりも少々手前ではあるが、森林帯に適当な場所を探してテントを設営、本日の行動を終った。
 夕方、ラジオのニュースで、裏目本の大雪と、八ヶ岳での遭難者の事を聞く。晩方は非常に冷え込む。
 2日、天気はどうかと期待したが、残念ながら昨日と大して変わらない。嫌な天気だ。3人で協議の結果、停滞と決める。こういうことはスムーズに決まるものだ。
 朝食後、キジ場を作りに外へ出ると、心持ち空が明るくなった様子、下山していくパーティに聞くと、「暮れの30日までは好天に恵まれていたそうだが、大晦日から崩れ出し今日で3日ぐずついているから、明日あたり良くなるでしょう」とのことなので、いくらか気持ちを取り直す。
 夜、ニュースで依然として裏日本の豪雪が続いているとのこと、雪不足で悩んでいた各スキー場には福音であろう。東京方面も大分冷え込みが厳しいようだ。
 3日朝、テントから出てみてがっかりした。今日もまた嫌な天気だ。小雪ちらちら視界不良、稜線は吹雪いていることだろう。明日は下山予定日なので、コンデションは良くないが赤岳だけ往復することにする。9時半頃に天幕を出発、赤岳石室を経て山頂へ、天気も良くないし寒いので早々に引き揚げて往路を帰幕、この天気ではどこの山へ行っても同じだ。全く嫌になってしまう。ラジオは相変わらず裏日本の大雪と山の遭難を告げていた。今晩は前日と比べて、いやに暖かい。明日も天気の回復は望めそうにもないようだ。
 4日、今日は下山の日だ、天気は前日と変わらずあまりパッとしない。昨晩の暖かさで溶けた雪が朝の冷え込みでテントに凍りつき撤収に一苦労。凍ってトタン板のようにバリバリになった内張りとテントを丸めるようにして背負子に縛り付け、新雪の積もった道を一路バス停へ、サラバ八ヶ岳よ!今度来る時は良い天気でありますように。


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