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水無川新茅ノ沢
播磨 忠

山行日 1970年8月23日
メンバー (L)播磨、宮坂、山本(義)、鈴木、境

 新宿駅の待ち合せで少し遅れて来た山本の義ちゃんが、珍らしくサブ一杯の荷物を持って来た。いつも折たたみのコーモリ傘一本しか持ってこない彼としては非常に珍らしいのである。何が入っているのかと聞いてみると、西瓜と登山靴とポリタンが入っていると言う。成程彼のスタイルを見ると、ニッカズボンは履いているが、素足にゴム草履といういでたち、また昨年みたいに頂上で皆んなに西瓜をみせびらかして食べるという寸法だ。
 大倉で朝食のラーメンを食べ、空模様のはっきりしないむし暑い中を出合目指して出発。昨日あたり大雨でも降ったのであろうか、水無川はかなりの水量があり、林道へ登る地点の渡渉に苦労する、こんな事なら下のバンガローの所で渡っておけば良かった。
 電車の中で「タクシーをおごろうか」などと言ったのだが、駅へ着いて見ると、タクシー乗り場は長い列、なんとかごまかしてバスにしてしまい、林道を歩いている最中に大分ブーブー言っている人もいたが、一汗かいて新茅ノ沢の出合へ到着、橋の下で身づくろいを整えていよいよ遡行開始。思った通り水量は多く、2、3ヶ所シャワーを浴びて滝を登る。義ちゃんは最初から、ゴム草履で登っているが、なかなか調子が良さそうだ、もっとも彼の靴よりは滑らないかもしれないが。
 F5の大棚は敬遠して高巻き、快適に遡行を続け、途中昼食を済ませてなおも登るうち空模様が怪しくなりガスッてきた。鳥尾山の頂上へ着いた頃には一面のガスで何も見えず。小屋の横で、義ちゃんが苦労して担ぎ上げた西瓜を御馳走になる、しかしこの西瓜、義ちゃんには悪いが、水っぽいだけでまずかったこと、例の方法で順位を決め、私が一番大きな一切を選んだのだが、全部消化するのに大変な苦労をした。
 帰路は三の塔からヤビツ峠に下ったが、途中二の塔からの下りで、新しい林道が山腹を横切っており、小型のダンプがうなりをあげて走っていたのには驚いた、丹沢も除々に変りつつあるのであろうが、我々山党にとっては、あまり有難くない事である。ヤビツ峠からのバスを期待したのだが、生憎バスはなく、蓑毛まで下ってバスの人となった。


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