トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ212号目次

丹沢集中山行 セドの沢左俣
原口 藤雄

山行日 1970年9月27日
メンバー 宮坂、山本、三橋、原口、他1名

 F1を越えてから、本谷隊と別れ、沢の入口からすぐ6mの棚になる。その滑り易い棚の所でヨッチャン、アッと思う間もなく滝壷へ、ビショヌレの姿で上って来たが前歯が欠けていた。これが本当の悲しいオハナシでした。間もなく右俣隊と別れると河床はナメ状になり小さな棚をいくつか過ぎて行く。後を振り返えれば、今日の好天気に恵まれ、真鶴半島や、その先の初島であろうと思われるが眺めることが出来る。4mくらいの棚を過ぎると10mくらいの柵になる。これを捲いて上に出る。下さな棚を越えて行くと左右から小沢が入り、三俣になって周りは開けてくる。中央の本流を進み、4mくらいの棚を過ぎると2段15mくらいの棚で、他のパーティがザイルでもって取り付いていた。我々は左の捲き道を取ることにするが、なかなか緊張させられる。これから明るく開けた所へ出て、しばらく行った所で食事にする。ヤゾーさんのワラジもここまででヒモを残すのみという姿に変り果ててしまったのである。しばらく行くと、また三俣になっている。中央の本流を辿るとゴーロ状態となり、水は減少してくる。ザレ場を過ぎると二俣になっていて、左のガレ沢に入ると6mの棚になり、小さな空棚を乗っ越すと、水は消えかかる。5mくらいの空棚の上にはワラジが5、6足も落ちていて、ザックの背にくくり付け、ヤゾーさんもワラジを履き替え、ガレを登って行くと赤土となり、赤土のバケツのように堀った穴に足を踏みしめて登れば、表尾根の縦走路に出る。モートーのコールを送ると、右俣隊も上に出たことを知らされた。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ212号目次