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諏訪山~天丸山
今村 信彦

山行日 1971年3月15日~16日
メンバー 今村、鈴木

 前夜、池袋より飯能乗り換え秩父行最終電車にて行く。駅にて泊るが、冷え込み厳しく寒い。7時のバスで小鹿野へ、連絡悪く、1時間程待ち坂本へ向う。雪がちらついていたが止み、晴れてくる。しかし風があり寒い。バスには二子山へ向う数パーティーが同乗している。坂本より志賀坂峠へ、トラック道を嫌って近道する。途中志賀坂ロッジで憩う。正面に二子山が聳え、武甲山まで望まれる。峠より、これから向う天丸山方面を見るが、はっきりしない。間物、瀬林部落を経てだらだら下りで、中里村、古鉄橋へ出る。バスを待つに1時間程あり、ここで唯一の食堂のうどん屋を見つけ昼めしとする。楢原行きバスに乗り、終点より約1時間半で浜平鉱泉だ。何の変化もなく林道歩きに飽き、のんびりした気分で行く。途中の部落では商店があまりに多いのに驚かされる。浜平は、4~5軒程の部落で宿は1軒対岸にあり、普通の民家と変わらない。
 15日、朝早く出るつもりだったが遅くなり、8時に宿を出る。快晴。今回の山行の成功を約束されたようなものだ。諏訪山へは、宿の裏の昔トロッコ道のあった所を辿るとすぐ左に営林署の作業小屋があり沢沿に進む。所々凍結した部分があるが、たいした事はない。次第に高度を上げ尾根をジグザグにぐんぐん高度を上げると小尾根に出る。ヤツウチグラの岩峰が正面に、後には浅間山の展望が素晴らしい。これより稜線までは極くわずか、ヤツウチグラヘは途中のピークを左右に巻き、たいした登りはない。道は思ったより良く、かなり踏まれている。ヤツウチグラ(三笠山)の手前の岩峰には梯子と鎖が掛っている。三笠山の岩峰は右にまわり込むようにして山頂に着く。展望は素晴らしい。西上州の山のほとんど全て、蓼科山、浅間山、上州の山々、またこれから行く天丸山とその稜線、全く飽きない程素晴らしい。諏訪山へは岩峰を南へ下り、小ピークを越え30分程だ。樹林に阻まれ展望はない。これより埼玉、群馬県界の1650mのピークまで尾根根通しに行く。右に本谷方面への道があり、我々の行く左には道がない。多少のボサだが歩き易い。ナイフリッジ状の岩峰を越え、伐採地があり踏み跡があり右の方へ下ってしまう。我々の行く方向は、背丈を越す笹の中、なかなかピッチが上がらない。かすかな踏み跡があったりなかったり。1650mピーク直下にて、本谷方面より来る踏み跡を見つけ辿る。県界尾根は、わりと良く踏まれており、わかり易いが、ヤブのある岩尾根なので登降激しく、ピッチが上らない。展望、雰囲気共に最高。天丸まで中間点で地図上の岩記号のあるピークは、東沢側がすっぱり切れている。もう夕方なのでそろそろビバーク地を探すが岩稜につき見つからない。暗くなる寸前極わずかな所を見つけツェルトを張る。今回の食料は、各自持参にしたので、別々の違う食事だ。
 16日、今日も快晴だ。ビバーク地から浅間山が、相変わらずくっきりと望まれる。岩場を幾つか越えると、極わずかの間、平坦な所があり日当りが良く、落葉樹の間から、正面に天丸山、左に浅間山、右に雲取山を望む。小鳥のさえずりのみ。全く静かだ。これよりまた、岩場をいくつか越えると、東沢方面からの道?または馬道?のわずかな踏み跡があり、広河原方面へは昔、道があった様子が多少うかがわせる。そして正面の岩を左から乗越すと、天丸山への分岐だ。道はしっかりしている。約5分程で天丸山の岩峰の基部だ。チムニー状の所を登り、後は登り易い所を木や根にすがって直上する。山頂へはすぐである。隣の大岩山の方が面白そうだ。木の間からは八ヶ岳の赤岳、蓼科山、浅間山、上越の山、両神山、西上州の山々、秩父の山々など展望は良い。また、天丸分岐へ戻るのだが、反対側へ登山道を下り、岩峰の西側を巻いて戻るのだが道はなく、だいぶ手こずってしまう。大岩山へは、県界尾根を進み左へ入るのだが一本手前の支尾根だった。皆間違えるようで、踏み跡ができている。大岩山は、天丸のように丸みはなく、また、木も少ない岩峰でより素晴らしい山だ。展望もより優れている。下山は県界尾根と大岩山の鞍部より、天丸と大岩との間の沢を下る。初めは多少雪の付いたゆるやかな斜面で気分が良い。傾斜は増してゆくが悪場はなく、またゆるくなる頃、炭焼の跡があるが踏み跡は見つからない。部分的に沢は凍結している。道らしい部分が所々に現われるがすぐに消えてしまう。出合に近づく頃、伐採地を越え、上の方にある林道目掛けて這い上がる。わずかで奥名郷の部落へ出る。急傾斜の物凄い段々畑、この辺は林道の工事で荒れている。バス停、八幡までのダラダラ下りにはまいった。今までの緊張がほぐれ疲れが一度に出た様子、嫌々ながら歩く。5時頃バスに乗り、万場、鬼石、新町と3本バスに乗り継ぎ東京へ。割と順調だったが11時頃だった。

〈コースタイム〉
3/15 浜平(8:20) → 支尾根(10:10) → ヤツウチグラ(11:50~12:45) → 諏訪山(13:20~13:30) → 1650m直下(16:30) → 岩記号のピーク(17:45) → B.P(18:20)
3/16 B.P(8:10) → 天丸分岐(9:35) → 天丸山(10:00~10:10) → 天丸分岐(11:05~11:30) → 大岩山(12:05~12:20) → 下降地点(12:35~12:50) → 奥名郷(16:00) → 八幡(16:50)

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