トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ213号目次

八方尾根より唐松岳往復
川田 昭一

山行日 1971年3月28日~30日
メンバー 川田、山本(義)、今村

3月27日
 後立山連峰の一つ遠見尾根より五竜岳への山行を休暇の関係で急に変更して八方尾根より唐松岳にする。モンチャンの見送りで新宿を23時45分の急行にて出発。

3月28日
 大糸線の白馬駅へ6時半に着く。そこよりバスで白馬ケーブル駅へ9時半に着くが、スキー客がほとんどでヤマヤは3パーティー(10人くらい)のみ。長い間待たされケーブルに乗った時は12時。乗車時間はたった15分。兎平に着く。1時に兎平からすぐ急な登りにかかる。途中、黒菱平、第一、第二の両ケルンを過ぎ4時にこれからのためのベース地に着く。場所は第二ケルンと第三ケルンの間の雪が付いていない岩と這松の平地で雪が豊富に着いた五竜、鹿島槍、更に不帰の剣、白馬三山が手に取るように見られる一等地だ。更に黒部の谷側に沈む太陽が美しく見える所だ。

3月29日
 起床3時、6時半にベース地を出発する。天気は昨日と同じく快晴だ。しかし我々の足は何故か重く、なかなか高度を稼げず(テント場でのあるコースの漬け過ぎによる祟りだろうか?)9時半に稜線に着く。この頃には晴れていた空も雨雲が空一面に貼りつき前線の接近を知らせている。急いで唐松のピークへ向かう。9時50分ピークに立ち、10分も居ないですぐ元来た道を下る。途中天気の崩れを待っていたかのように雪色をした雷鳥をあちこちに見ながらドンドン下る。登りに3時間費いやしてピークに立ったが下りは、ピークより約50分でベースに到着する。この頃には天気が雨と風混じりとなって来た。多分稜線では吹雪だろう。時間が過ぎるにつれ、テントの中は、雨もりで水びたし、ガスコンロをフルに燃やして周りの濡れた物を乾わかすが焼石に水、日が暮れると共にテン卜の中の物は、ほとんどずぶぬれ、その内強風でテン卜のポールが真中で折れるが、風は更に強くなり竹製の支柱は折れるやら、また、2、3回テン卜と一緒に我々も10センチくらい浮き上がる。こんな訳で、寝ることも出来ず、夜明けまでテン卜の中で風と戦う。

3月30日
 寝不足の目をこすりながら朝食を摂り早々にテント撤収にとりかかる。時折り強い風が吹くが夜中の比ではない。8時45分下り始める。兎平に9時半、白馬部落に10時下山。
 白馬駅前の店で無事下山ということでビーで乾杯...。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ213号目次