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大桁山
鈴木 嶽雄

山行日 1971年3月21日
メンバー 鈴木、播磨

上信線千平の無人駅に降りたのは我々だけだった。すぐ左へ踏切を渡り民家で水を入れて林道を行く。途中から右の小道に入り、前から登ろうと思っていた横に長い岩山目指して藪道を行く。小さい岩山なので一汗かくと頂上だ。春霞で遠くは見えないが眼の下には箱庭のような千平の民家や川が見え、おもちゃのような電車が通る。
 暫く休んでから、西の藪尾根を鍬柄山の岩塔を目指して進む。途中で山仕事をしている人と話をする。今登った山が十箱山、鍬柄山をローソク岩ともいう。両岩峰とも千平部落の信仰の山らしい。一旦尾根より右下の林道に出る。やがて山中の一軒家に出る。梅や春の草花の花盛りの畑に腰を下ろす。目の前に鍬柄山岩塔、牛が10頭ほどのんびり草を食む、春たけなわ平和そのものだ。犬だけがワンワンと吠えていた。鍬柄山の道標を見つけて、小道を行くと杉林の中に王夫利神社があった。社の裏で道が二つに分かれ左の道をジグザグ登る。やがて岩場だ。鉄梯子やワイヤーを頼りに登れば、石社や祭り用の幟が立っている岩の頂上である。相変わらず見通しが悪いがポカポカと良い気分である。大桁山を見ながらラーメンなど食べていると地元の子供たちが登ってきた。しばらくして岩山を降りて大桁山に向かう。かすかな道を杉林の中に見つけて登る。やがて、数年手が入っていない畑の中、草ぼうぼうの所を行く。しばらくは適当に登ると防火帯に出る。道もある。
 水平に絡んでいき、最後の一直線の物凄い急登を登ると大桁山の山頂であった。春霞が増々ひどく何も見えないし、風邪を引いたか体の調子がすこぶる悪い。一休みして北の方へ防火帯の道を降りる。こちらは日の当たりが悪いせいか道が非常に滑る。鞍部で右へ下る。この辺りは禁猟区である。時々、バタバタと山鳥が飛び出してびっくりする。
 風邪薬を飲んだせいか頭もスッキリしてきた頃、立派な林道に出る。ここは県有模範林業事務所がある。杉やメタセコイヤなどが美しく植林されている。林道を更に下って妙義山が見え出すと梅の花咲く川後石の部落である。ここから松井田へのバスがあるが我々は下仁田へ行く。杉の木峠を越えて暗くなるまで歩いて、中小坂でバスに乗る。バスを降りるとコンニャクのサシミとビールを求めて傍の店に入った。


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