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鷹の巣山集中山行 峰谷集落コース
三橋 晶子

山行日 1971年5月16日
メンバー 長久、山本、三橋、杉原、平、酒井

 奥多摩駅で前日氷川に泊った方と落ち合い、ここの駅で沢コースと尾根コースとに分かれてバスに乗った。新しく入った女の方は尾根コースを行くことになった。
 駅のベンチで朝食のおにぎりを食べていた長久さんから「三橋さんは、男だから沢コースがいいよ」と声がかかった。私も考えたが、やはり他の女の方と一緒に尾根コースを行くことにした。尾根コースを行く人は長久さん、山本さん、新しい女の方3人と、わたしとで計6人となった。
 バスは満員で臨時バスでダムまで乗り、ここでドラムカンのある所まで行くバスに乗りかえた。ダムの休憩所のべンチの上は藤が満開である。藤棚の下の美女4人の姿を思い浮かべてもらいたい。みごとであったろう?
 バスを降り、登り口に着くまで大変長かった。途中雨がポツポツと降ったり止んだりしていた。いよいよこれから登りという所で、チョロチョロ水でのどを潤し、「もう沢の人達は頂上かなあ」と話しをしながら、昼食にした。
 登りに入った。神社までも長かったが、目ざす鷹の巣山は、まだまだ見えない。空は朝とうって変り、きれいに晴れ渡り、むし暑い。歩きながら「沢は涼しいだろうな」「水が、どこにでもあって、いいなあ」と思いながら、残り少くなくなった水を飲み飲み歩いた。ついに疲れてしまったので、杖になりそうな木を捜し、つかまりながら歩いた。急な登りの所で全身の重みをかけるため折れてしまう。また捜し...だんだん太い木に変っていった。この辺まで来ると、下りの人が来ると必ず「あと、どれくらいですか」と尋ねる。すると「あと30分くらいですかなあ」と答えてくれる。あと30分やれやれと思いながらも、また下りの人が来ると「あと、どれくらいですか」と尋ねる。「あと30分くらいですよ」と答える。また来た。「あと30分」と答える。いいかげん頭に来た。それでも尋ねることを止めない。カゴをしょったおじいさんが来た。「あとどれくらいですか」「もう少しですよ」と答えるとすぐ「そんな棒を持って、せっかくの手がだめになっちゃう」ときれいに皮をむいた、まっすぐな軽いおじいさんが使っていた杖をくれた。なんとお礼を言おうかと困ったが、嬉しくて他に良い方法が浮ばない。「どうもありがとうございます」と言っただけで登り始めてしまった。杖をもらってからは足どりも軽く、頂上まで一気に登った。頂上に着いた時は3時をまわっていたろう。頂上には宮坂さん、鈴木さんと新しく入った方と3人だけしかいなかった。あとの方は、少し離れた所に寝ころんでいた。ひと休みをして下山したが、途中、きれいな花が咲き乱れ、木の葉もちょうちょうのような形をして。柔らかいきれいな緑色をしていた。花の名前を次ぎ次ぎに、教えてもらい、楽しい下山であった。
 帰りの車中「あなたどうする、入る?」と話をしているのを耳にしたので「この会は気がるで、女の人を大事にしてくれるから、ぜひ入って」と勧めたが、心配である。


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