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武甲山
大島 喜代子

山行日 1971年9月5日
メンバー 山本、今村、鈴木、大島、杉原

 横瀬駅出札口を拝借して朝5時頃まで寝た。歩き始めると先ず、三菱セメントの工場が見え始め、白っぽい道をかなり歩く。生川谷の流れの音がお腹に響き、早く朝食にならないかなあ、と思いつつ。へこたれずに終えることができるかしら?谷川のすぐ脇で朝食となった。頂上まで52丁という。時折朱に近い明かるい可憐な花がひっそりと咲いているので、皆で何て花だろう?と言いながら、杉林帯の中をしばらく歩いて休憩した空は灰色で、土もじとじとしていた。高い林帯が消ゆる頃、空の青さに気付き、大分上に来たらしいと感ずると同時に視界が開けて鮮々しい秋の気配を感じた。48丁目辺りで低い草原のゆるやかな道になり、ひとしきり登ると鳥居が見えた。途中は私達だけだったが、そこまで行くとかなり、賑やかだった。頂上で景色に目をこらした。眼下に秩父市が見え、その向こうの山が妙に高く見えた。昼頃、茶屋山頂を降り、藪の下りをひとしきり。大持山へのゆるい登りに入った。そこから、切り崩した白い山肌が見え、どこか痛々しい。大持山からの、歩きにくい道を、武士平に向って降りてゆく。藪に身体の半分以上埋まりながら。一人では迷いこみそうな下りだった。2時間半程下って、視界の開けた地点で休憩した。ススキが微風にゆらいでいた。歩いた割にはまだまだ上のようだ。また、山肌が白く目に入った。そこから1時間弱で武士平に着く。ここから四ツ程部落を通り抜けていった。桑の木や、こんにゃく畑があり、なだらかな登り降りだったが足が痛くて座り込みたかった。浦山口までの舗装道路を歩きながら、浦山川の速い流れを時折覗き込み、のんびりと駅に向った。


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