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夏山合宿 白馬岳~朝日岳
斉藤 芳弘
松本 順子

山行日 1971年8月6日~9日
メンバー 原口、小島、山本、斉藤、鈴木、播磨、松本、杉原、広田

8月6日
 皆んな大きなザックを背負って来た。「こんな重いの初めて」とか「入らない」とか「歩けるかなア」と言う心配をよそに後発組7人を乗せた列車は、雨の降りそうな空の下、一路白馬へ向う。猿倉に着いた頃より小雨が降り始め、朝食後、雨具等を準備して出発、山道に入ったかと思うと、ひょいと林道に出た時の驚ろきと失望は何とも言いがたく、時々小雨の降る中、長々と続く林道を黙々と歩く。白馬尻に着いた頃、雨も本降りとなり、しばし小屋の中で軽い食事等を摂って休む。雨が上ると他のパーティが動きだしたので我々も出発。雪渓取付口で登山者がアイゼンを付けているのを羨ましげに横目でチラリと眺め、いよいよ雪渓の登りが始まる。噂には聞いていたが雪渓上では、自分達のペースで歩けず、ノロノロと行列が続く。天気は悪く一面ガスで何も見えない。そのおがげで汗も大してかかず涼しく登れた。大雪渓が終って岩室で昼食を摂っている頃から雲が切れ、青空が見え始め、太陽が出たり入ったりする。これより自分達のペースで歩き始めると共にお花畑が出てきて、登りの辛らさも荷物の重さも、花を見て気晴らしが出来る。小雪渓をトラバースした付近よりお花畑に柵がしてあるのには、がっかりした。辺り一面ガスっている。お花畑で休んでいる時「モートー」の声が聞え先発の斉藤さんと会い、またテントを張ろうとしている時、鈴木さんを見つけ、全員揃って白馬の夜を迎えた。

8月7日
 ああ快晴だと信じていた。信じた私が悪いのか、それとも××のおやじが悪いのか、眠い目をこすってみてもテントの外は灰色の世界。こんな具合だから職人膚の多い我が会は天候が微妙に影響すると思いきや、今回は、いたって素直に出発した。時に霧が重くたちこめる9時。歩き始めの登りは辛らく、白馬山頂に着いた時には、ほとんど全員がオーバーヒートしているようだが、それは、それ皆さん若いから、少し冷却すれば元の通り、頂上での展望は利かないので先へ進む。白い岩屑の堆積した尾根を右へ左へ、旅人は行きました。道が次第に山腹を下る頃は、目の前が開け、緑の美しい三国境に着きました。とても落着いた感じの場所で、正面に鉢岳、肩を並べるように雪倉岳が姿を見せ、所々に残雪が印象的であった。ここらは、フォッサマグナ帯だそうで、その特長として東側は壁となり、西側がなだらかな斜面となっているんだそうです。そんな事知らなかったから、動こうともせずに、ポカンとしていた。ただ女性と鈴木さんは、高山植物を写している。鉢岳へは、一気に登りつめた。雲は低いが切間から本当の青空が見える。澄だ空気と堅いパンで昼食を摂りながら、やはり山に来て良かったと感じた。雪倉岳の登りは本日のメインエベントだから、パワーを押えて登ること、50分、頂上に立つことが出来た。ここまで来れば、もはやねぐらは近い、近けりゃ気分も気楽なものさ、どうにでもなるさ、とは言いすぎだった。下降は、ショッパイ尾根を経て森林帯に入ると、5人のパーティが上って来る。彼の人達、監視員にテントの徹去命令を受けたそうで、その場所を聞き出して別れた時をみはからって、一気にテン卜を設置し終ると、後は野となれ山となれ、当面腹の虫の心配の方が大きい。さて原口さんの指導に従い夕食作り、食べる方は得意だが、作る方は下手。この次には、原口料理教室に入って勉強するか!
 夜の三峰テント村に何が起ったかは、それは参加者の顔ぶれを見て想像して下さい。

8月8日
 昨日の遅れを取り戻すために、6時半出発する。すがすがしい朝の空気を切ってピッチは上がる。途中雷鳥の親子連れに遭いましたがとても可愛い子供を連れているので気が気でないらしい。鳥の世界でも同じことらしい。朝日岳に立ったのは9時、平凡な山だが天気は良かったので思い出深い。山頂で学生の演じる史劇を見たのも初めてなら天然フリーザーで冷したトマトを食べたのも初めて、三峰釜を背負ったのも初めて、感激のあまり物理的法則を考えなかったので失敗した。いよいよ下降アプローチに入る。明るい気分の良い朝日小屋を過ぎイブリ山までノンストップだがいかに良いマシンでも加熱ぎみ、汗がタラタラ、ガマの油なら売れるが、人間様のでは仕方ない。水分を十分補給し、最後のエネルギーを貯えているところに、6~7名の女性達が登って行く。そのボリュームの迫力あることと言ったら播磨さんプラスアルファ級。見るからにスタミナのある体に男性顔まけの荷を背負っている。我々も頑張ナクチャ。下降は続くが、もはや赤ランプが点きっぱなし思考力は衰えなくとも足がダウン。完全に肉体と精神の不和感を感じる。後の方も乱れ始める。この苦しい中に在って、ただ心の支えは、小川温泉のことだった。だから北又小屋を見た時は、本心ホッとし、吊橋を渡った時、これで温泉だと思った。
小川温泉特記
 山道をトラタクに揺られ1時間、小川温泉郷に入る。宿に入るやいなや、早速温泉に入って三枚目半の色男になり、その気になって盆踊り大会に参加するが、これが曲者、踊っても合わない。結局踊りが悪いことになり手を引く。だが一人だけのっている。だれであろう山本さんその人である。今夜は、山本デーを認め、我々は冷やかし役に廻った。

8月9日
 朝のバスにて泊駅に出る。ここで白山へ行く人逢と別れ、直江津に出て優雅にも海水浴に行きました。


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