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平ヶ岳
野田 昇秀

山行日 1972年5月3日~4日
メンバー 原口、播磨、山本、川田、野田

5月3日(晴)
 後発の人達が山の鼻BCに到着。賑やかな朝が始まった。酒もって来たかい。昨夜でアルコールの切れた先発組は心配そうに聞く。
 サントリーの赤Wサイズが、はまちのさしみを連れて上がって来たという。荷鞍山へ散歩に行く予定の山本君と私は、酒の後を追って平ヶ岳行に参加することにする。日焼けした二人のお嬢さんが護衛の小池君と共に帰って行った。スキー専科の斉藤君をテントキーパーに、平ヶ岳組は川田、野田、山本、原口、播磨のオーダーで出発する。
 白い尾瀬ヶ原三キロの先で左折東電小屋への道を進む。ヨッピ川にかかる吊橋を渡った所から道を離れ景鶴沢めがけて林の中に入った。途中東電小屋から来るトレースを拾い沢の上部に入って行く。私達は上ヨサワ沢出合の雪渓の窪みが何となく気になり、トレースを離れ左岸の尾根に取り付いた。この尾根は夏道より一本下の尾根である。樹林帯の中の急傾斜の尾根を約1時間登ると稜線に出た。ヌウ岩と呼ばれる岩壁を持つ山頂はすぐ近くでした。やせた雪稜を嫌って北面をトラバースして裏側に出る。大白沢山から白沢山を目指して白くなだらかな山頂の平ヶ岳が美しく見える場所で昼食にする。播磨、川田、野田で景鶴山頂近くまで往復する。広い雪の尾根を約1時間歩くと大白沢山に着く。展望の非常によい所である。至仏、燧、平ヶ岳は勿論初めて見る秘境岩塔台地外田代が白く輝いていた。奥利根の山々も美しく連らなっていた。ジャンクションピークへの下りは少し戻って急斜面を強引にグリセードで下り、夏には湿原があるという雪原を横断して、スズヶ峰と白沢山の分岐点にツェルトを張った。
 すぐに赤の時間が始まった。私は飲みすぎてダウン。夕食を摂らずに寝てしまう。

5月4日(晴~曇)
 天気も下り坂、簿雲が空を被っている。ラジオの歌を大声で唱和したり、手拍子をとったりまだ酒が残っているよう。大変な朝の始まりである。原口さん得意の高カロリー食をたら腹食べ、ピッケルとカメラだけの軽装で平ヶ岳目指して出発。今日はのんびりと展望を楽しみながら歩く。なだらかな広い尾根を約2時間程で平ヶ岳へ着く。望みがかなってやっと登った平ヶ岳、でも感激はなかった。野球場が造れる程広い雪原に山頂の感じは少しもなく、ぼんやりと越後三山をながめて下ってしまった。これが平ヶ岳の特徴なのだ。ジャンクションピークに戻り昼食を摂り、ミルクを食器に5杯飲むと子供の事を思い出した。今日で5日家をあけたのだ。悪い親を持った子供が少々かわいそうになる。スズヶ峰に登り猫又川を囲む尾根の岳ヶ倉山で小休止。最低鞍部から至仏山を1700m付近まで登って下降する。時々グリセードをしながらムジナ沢を横断約30分で山の鼻BCに帰り着いた。楽しい山行でした。

〈コースタイム〉
5/3 BC(8:30) → 牛首(9:00) → 景鶴沢(10:15) → 稜線(11:30) → 景鶴山(12:30) → 大白沢山(13:50) → AC(14:40)
5/4 AC(7:00) → 白沢山(7:40) → 平ヶ岳(8:50) → AC(10:30~12:10) → スズヶ峰(12:40) → 岳ヶ倉山(13:10) → 下降点(14:40) → BC(15:30)

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