トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ216号目次

金峰山
播磨 忠

山行日 1972年1月15日~16日
メンバー 鈴木、平、松本、播磨

1月15日
 連休のスキー客でパンクしそうな上野駅を0時過ぎの臨時列車にて出発。高崎を過ぎる頃より怪しかった空模様が雨となり軽井沢では雪となっていた。
 当初の計画では初日に四方原山へ登り、2日目に御座山へ登る計画であった。それも出来ることならば初日に茂来山から四方原山への縦走を考えていたのだが、小諸で小海線に乗り換えてからも雪は増々激しくなり一面の銀世界となった。この調子では今日の行動は不可能だし、明日天気が回復してからも人のあまり入っていない御座山へ登れるかどうか判らないので、一応この計画は取り止め後日にまた計画することとし、目的地を奥秩父の金峰山とした。
 金峰山へ行くには小海線からでは、清里で韮崎行のバスに乗り換え百観音で増富行きのバスを捕まえるのが一番早いと判り、清里経由にて百観音まで行く。ところが一寸した手違いで増富行きのバスに乗りそこなってしまい、仕方がないのでタクシーにて増富へ行く。
 増富からは雪のちらつく中を何の変化もない林道を車の轍を追って金山へ向かう。金山高原へ入る少し手前から雪も止み、視界も開けて前方に雪を纏った瑞牆山が立派に聳え立っている。この分なら明日の天気は期待ができそうだ。
 金山平、金山峠、瑞牆山荘と登って本日の泊り場である富士見小屋へ到着、小屋の中は連休中なので大分混んでいたが良い場所を確保することができ、差し入れのウイスキー等のせいもあったのか、快適な一夜を過ごすことができた。

1月16日
 本日は金峰山を往復して下山の予定なのだが、大陸の高気圧が張り出してきたのか、昨日通り過ぎた低気圧が発達したせいか大分風が強い。金峰山などへ来る予定ではなかったので装備の点で心細いので四人で協議の末、二人分の装備が揃うということで僕と平さんの二人が金峰山へ、鈴木と松本さんは瑞牆へ登ることにする。
 我々金峰組は一足先に小屋を出発。先行者のトレースを追って大日小屋、大日岩と登り、森林限界まで来るとさすがに風が強くなり、下の方では晴れていた天気もここでは視界が50メートルぐらいになってしまう。
 奥秩父は表日本の天気の影響を受けるのだが、金峰山ぐらいの高さになると南アルプスと同じように、季節風の吹き出し始めには風が強いため、山頂付近は強い風と共に飛んできた雷雲がまつわりつきこのような天気になるらしい。
 肌を刺すような寒風が吹きすさぶ中を冬山の厳しさを体に感じながら、何の視界も得られない山頂を往復して森林限界まで辿り着いて正直ホッとしました。先刻の風もここまでは追ってきません。大日岩まで来ると太陽も顔を出しました。山頂では厳しかった天気もここでは全く嘘のようです。疲れた足を元気づけながら二人の待つ富士見小屋へ急ぎました。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ216号目次