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生藤山集中登山
浅間峠コース
五十嵐 絹江

山行日 1972年5月21日
メンバー 春原、宮坂、松本、五十嵐(雄)、五十嵐(絹)

 久方振りの参加で前日から空模様が心配、我ながらまるで小学生の遠足前日のような有様でした。
 さて当日、空は見事な五月晴れ、と言いたいところですが荷物は16キロの生きたお荷物。いささか先を思いやりながら我が家を発ったのでありました。
 五日市駅では同コースの仲間と素直に終結。ところがバスの時間までは後1時間以上待たされるとあり、一番遠いコースということで上川乗までタクシーを奮発。上川乗に着くと早速ウグイスが美しいさえずりで迎えてくれました。歩き始めて程なく、ヤゾーさんは例の如く裸チョッキです。やや急な道は杉の植林の中を続いてゆきます。足元には懐かしい小草の数々、しきりに鳴くウグイス、吹く風はそろそろ汗ばみ始めた体に冷やりと気持ち良く、踏みしめる石ころ混じりの湿った黒土が山靴の厚い底を通じて嬉しく感じられ、やはり山は良いナァ。
 さて我が家のお荷物はといえば、汗をかいて登る親父さんの背中で自分の重さも 知らぬ気に放歌吟唱、一人山を楽しむ風でした。一汗して尾根筋に出ると小さな祠があり、一本立てることに致しました。遥かより微かに聞こえる筒鳥の声など聞きながら、しばしの憩いの後出発です。
 路傍に銀竜草の青白い姿が二つ三つ、破れ傘が大きな手のひらを広げ、叡山すみれはもう葉ばかりでした。
 浅間峠は大きな古木の生い茂る峠を言うよりは小広い山頂のようなところ、西南の開けたところからはまだ五合目までも雪を被った富士が眺められます。つつじの白と薄紅が目を見張るようでした。ここで飲んだ燃料切れの温い紅茶、でもとてもおいしかった。
 熊倉山は松などに囲まれた小さな頂きでした。山頂からは道が左右に分かれています。左の道を取って急な下りを木の幹の助けを借りながら下り始めたところ、ほどなく踏み跡が心細くなり、落葉に深々と埋もれた急な山肌に消えようとしています。急ぎ鳩首会談の結果、方向違いということで損した損したと登り返し、正しい道に出たところで「モートー」とどこかからコールがあり、目的地近しと思われました。道は相変わらずの藪の中を高低を繰り返しながら続きます。おまけに篠竹まで加わり終いには両側にびっしりと篠竹の垣根ができたよう、我が家の坊主は顔に遠慮なく打ちかかる枝葉にすっかり降参の態。背負子に乗ったり歩いたりしているうち、「もっといいドーロ行こうよ!」
 生藤山へ後僅かの小さなピークには今村さんが私達のパーティーの松本さん、春原さんと共に遅れた私達を待っていてくださり、そこからはもう一投足、最後は和雄も最初から歩いていたような顔で、松本お姉さんに押してもらいながら登ったのでした。

〈コースタイム〉
五日市(8:45) → 上川乗(9:10~9:40) → 小祠(10:20~10:35) → 浅間峠(11:00~11:50) → 熊倉山(12:40~13:20) → 生藤山(13:50~15:15) → 上岩バス停(16:25)


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