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迎春にあたって
三峰山岳会会長
長久 鶴雄

 諸兄姉には御元気で希望に燃えた新らしい年を迎えられたことと思います。本年は三峰山岳会も40才を迎えました。この会が今日までに千数百人の会員諸氏の豊な親交と山への情熱とに守られて参りましたことは誠に喜びにたえません。私達は山という共通の場を通して或時は心身の鍛練の場となし或時は童児の如く心に安らぎを覚え美に感動し、試練に堪え、固い友情をたしかめ合ってきました。幸なことであります。今年はこの幸の輪を更に広くと、同好の士を大いに募り会の発展を期すつもりです。皆さんの御協力を切望致します。
 さて、昨年の山岳事故に対するマスコミの批判には腹だたしいものもありましたが、私達にも充分反省点はあります。装備器具の急速な進歩に依存した自信の過大や体力精神力の弱化が原因することも多々あるようです。私達の相手は大自然。心に銘じて下さい。軽んずることなく、恐れる事なく登山の原点に立ち戻り充分な研究並計画と体力及精神力の強化を常に心がけさえすれば行動は自ら良たるものであります。思えばここ2、3年は世情の激しい変りように振り廻されていた形です。今年は一つじっくりと思考し、内に強健な体力と意志を養い、諸兄姉の親交を固め、外に向っては牛歩以って着実な路を推進すべく努力したいと思います。
 終りに会員諸氏の御多幸と御健康を祈ります。
 1973年元旦 猛登!


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