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飯縄山ツアー
小池 泰雄

山行日 1973年3月3日~4日
メンバー 長久、小島、小池、他1名

 今回は当会が誇る深雪の鬼、小島コーチに連れられてやって来たのは戸隠スキー場。バスを降り、今夜の宿「高砂口ッヂ」なるものを捜すが、いくら見廻してもそんなのは見当らない。しかし目の前の「高妻ロッヂ」というやつがどうも気になるので恥を忍んで「もしかして戸隠○○番はこちらさんでござんしょうか?」「もしかしなくてもウチですよ」てな訳でホッと一息。最初からこれでは明日のツアーも前途多難を思わせるのであった。
 一休みしてから倶察と足馴らしを兼ねゲレンデへ。ガイドブックによれば村営リフトよりメノウ山へ2時間。メノウ山より飯綱山頂ヘ1時間半とあるので、とにかくリフト終点まで行ってみようという事になった。3本目のリフトを降り、前方を眺めると、小雪と霧に隠れて、前方にピークらしきものが見える。しかしピークの方向へは急激に落ち込んでおり、地図と全々違う。そこで例によっで信頼の原則にて山へ登る我々としては、解らない時には即人に聞いちゃうのである。うまい夕イミングでピーク方向より登って来た一団有り。「ちょいと伺いますが、前方のピークはメノウ山でござんしょうか?」「いやメノウ山はここですよ」「ナヌ!ホンジャ前方のピークはどこでやんしょう?」「あれはアンタ飯綱山ですよ」「アリガトサン」てな訳で、要するにメノウ山までリフトが登っており、飯綱山頂へは1時間半程度と判明。世の中進んでるんだワ。偵察が済んだので、軽く一滑りしてロッヂに戻ると、やがて後発の長久さんが到着。その晩は長久先生に商法及び民事訴訟法の講義等を受け早めに休む。翌日は無風快晴とまでは行かないが、かなりの好天の中をリフトに乗っかって、メノウ山の頂上に立つ。飯綱山への鞍部までは幅の広い急斜面で、前日の小雪のためシュプール一つ無い浅い新雪だ。Kコーチの目の色が変る。オレも付き合いで目の色を変えるが、理由はそれぞれ全く違うのだ。Kコーチを先頭に新雪にシュプールを描き、各自実力に応じた豪快さで一気に滑り降りる。実に気分荘快。これだからツアーは止められんのヨ。鞍部からは痩せた尾根を飯綱山へ登る。登りながら急なことと、斜面のあまりの狭さに、下りの事を考えると多少心細くなって来る。山頂にて一服後いよいよ問題の痩せ屋根の下りだ。とにかくアナタ右側は雪庇、左側はブッシュの間およそ7~8m。これじゃ右も左もマッ暗ヤミじゃござんせんが、最初はソロソロと安全運転をやっていたKコーチ、面倒になったのか、やおらブッ飛ばし始める。「さすが深雪の鬼!」と感心していたらフイと見えなくなった。どうやら雪庇をブチ抜いた模様。Kコーチ後日談、
「一瞬マッ暗ヤミになったもんだからアセっちゃったよ」そんな訳で各自雪庇をブチ抜いたり、ブッシュに突っ込みながらも無事鞍部へ。最後の斜面を喘ぎながら登って、今回のツアーを終えたのである。


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