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荒船山~黒滝山不動
別所 三郎

山行日 1973年5月13日
メンバー (L)別所、小島、庭野、長崎

 本例会の係の今村君が都合で行けなくなったので代理としてこの例会を受持つ。
 前夜は高崎駅前休憩所で仮眠をとり、上信電鉄一番電車で下仁田へ。内山峠へのバス終点は市野萱で、登山者は我々4人だけだった。
 トラック道にしては車の通りが頻繁で砂ぼこりに口を塞ぎながら、1時間強で小屋場に着く。そこは今、バイパス建設工事中であった。内山峠方面の登山道は通行止になっており、三瀬からの尾根道と合流する艫岩への道を取ることにして、道路工事を見ながら朝食を摂る。ジグザグの急登で喘いで次に艫岩の岩場を避けて作られた道を辿ると、荒船の平担地に出た。晴天すぎて浅間は少しぼやけていたが、見晴台からの眺めは広々として気持がいい。内山峠方面から何やらのぼりらしきものを背負ってくる奴がいるというので見に行ったら、16mm用ムービーの三脚を背負子に付けていたのであった。しかしそのケースはゴルフバックを連想させ、もしこの絶壁上から打下しをしたら、どんなに豪快だろうと小島さんと話したりした。何にでもすぐ狂う日本人だ、そのうち誰れかやるに違いない。京塚の登りまでは何とかスミレと何とか鳥のさえずっている平担な街道筋で、やがて道は小ピークを越したり、巻いたりして独標に向う。途中岩間から、水が滴り落ちている所で、紅茶を沸かして昼食とする。案内書によれば、そこが毛無岩道下らしかったが、事実毛無岩は赤褐色をして、のっぺりした一大岩壁で、昼食地点より1時間の所にあった。道はその基部の右側を廻り込んで伐採跡の見通しの良い中を行く、毛無岩を十分廻り切らない所でクロスする道があり右へ辿ると底瀬方面へ下ってしまっているので引き返し、5五万分の1の地図での黒滝山の位置がはっきりしないが所々にある道標に導びかれ、初夏の緑淡い尾根道を行くと春山合宿前に登った鹿岳が身近に現われてくる。黒滝山は訳のわからぬまま通り過ぎ九十九谷への分岐に出る。そこに来ると人家は近く、急斜面に鳥用のエサを採培していた。五老峰への道はクサリ、ハシゴが掛っている。ちょっとスリルの味える岩尾根だが、20分ぐらいで着いてしまう。山頂の見晴台も岩を跨いでの眺めで、所々岩が露出しており紅葉の頃は一層趣きがあると思われる。五老峰から九十九谷を巡り幕岩の上部を通過するのは次回に譲って、先ほどの分岐まで戻り黒滝山不動寺を見学して、小沢橋のバス停までアスファルトの道を下る。小沢橋ではタッチの差でバスに乗り遅れ、タクシーを拾って下仁田へ。下仁田では町内一流と思われる割烹旅館ヘ上り込み、サシミコンニャクのさかなで今日一日の労をねぎらってカンパイした。

〈コースタイム〉
市野萱(7:40) → 艫岩(10:20) → 毛無岩水場(13:35) → 五老峰(16:35) → 小沢橋(18:30)


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