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源次郎岳
別所 三郎

山行日 1973年2月4日
メンバー (L)今村、別所

 暖かい列車の中でトロトロしていると今村さんに揺り起こされて塩山駅に降りる。タクシーの相乗りで裂石より10分くらいまで乗り入れてもらい、雪の林道に降りたのが午前3時、今村君の懐中電灯を頼りに砥山峠に向かう。眠い目をこすりこすり長兵衛小屋を経て砥山峠で仮眠とする。今年この辺は雪が多いらしい。エアーマットを敷きツェルトを被ってうどんで温まり、2時間ほど眠る。下田川峠までは結構雪があり、雪に足を取られながら2時間ほどで着く。源次郎岳への分岐は5万分の1の地図上でははっきりつかめず、初めてのコースだったらここら辺りで一奔走しなければならないところだが、今村君が前に日川尾根を歩いた時に確認してあったので難なく源次郎岳へ取付くことができた。凍った地面に落葉が付いている滑り易い痩せ尾根を25分で源次郎岳の山頂に着く。南ア、道志、丹沢と展望の利く岩上で昼食とする。山頂からは木の根、岩角に掴まりながらの急な下りだった。1,182mのピークから振り返って見た源次郎岳は意外と形の整った山らしいかっこうをしている。小ピークを上下して、恩若の峯は道が巻いていたのでちょっと戻って山頂を踏み、土塚のバス停に3時20分に着く。次のバスまで時間があったのと、ここまで来たら塩山温泉に入らねばということでタクシーで塩山市内の公衆浴場に向かった。源次郎岳は今村君が何年も前から狙っていた山で、やっとその思いが達せられたと聞いた時、僕の胸にジーンとくるものがあった。今日一日行動を共にして、彼の係としての十分な前調査、低山と言えども侮らず丹念に自分の踏み跡を残していく姿勢、そして山を心から楽しんでいることが、交えた会話の中から、これまでの豊富な山行の成果である彼の今日の行動から窺い知ることができ、嬉しかった。


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