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丹沢大山川沢登り報告
小山 由美子

山行日 1973年9月2日
メンバー 今村、稲田、渡辺、小山

 何が苦手といっても朝起きほど苦手なものはない。危いなと思いつつ・・・・9月2日朝、案の定1時間の遅刻をしてしまった。申し訳けない気持と、追いつかなくてはという焦りとが入り混じって胸がどきどきしていた。が思ったより近くで、今村、稲田、渡辺の三氏と出会うことができた。沢登りの入口である二重の滝で休憩中のところだった。ヒラにヒラにお詫びして早速登り始める。「今日は三人とも寝不足だからアンシンして」という首をかしげる言葉に全て任せて、ザイルのしっかりした結び方から始める。
 ガイドブックによると、だいぶ上まで水が豊富と出ていたらしいが、水は予想外に少なく枯れ山水だった。二重の滝も一重しか流れておらず、しかも岩にへばりつくようにわずかな水の量だった。3分の2くらいまで登ったろうか、今村さんの案で頂上を目指すのを止めて、ザイルの使い方、岩への接し方などやることになり、練習しながら元の道を戻った。寝不足もあって、この方が良かったのかもしれない。登りの途中で、稲田さんの目に思わぬシアワセが飛び込んだのは寝不足気味の皆なへの目ざましだったのだろうか。岩の上に小さくまるめた三千円である。しかもラストに歩いていた稲田さんが気がついたというのも面白いと思うのであります。結局、余り人にも行き会わず、それらしき声もかからなかったため、掃りに全員でカンパイして、コーヒー飲んで、思わぬシアワセもオワリました。だけど、どこかでコーヒー飲めなくて、シケた顔した人が必ずやいるのでありますから、ちょっぴり気がひけましたっけ。
 今回は朝から遅刻したり、寝不足だったりでしたが、今村さんや稲田さんからのザイルの扱い方や、そのほかいろいろ教えて頂き、私としては、一生懸命追いかけたかいは十分ありました。結局遅刻の罰として、この原稿書きと相成った次第。すっかり澄みきった秋空に、ふっとわけのわからぬ淋しさを見たのは私だけではないようです。


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