山行日 1973年10月7日
メンバー 播磨、柴田、桜井、庭野、小山、稲田
渋川沿いを登るバスの窓から見た紅葉は今が真盛りであった。茅野からのバスは1台では足りず、臨時のバスが1台追加される程、登山客が多かった。その2台のバスからはき出された連中が、夜半から降り出し、なお雨足を強めている雨に行動を妨げられて、渋の湯の旅館の軒先や食堂の隣の休憩所に多勢たむろしていた。我々もその一員に加わって、先程からのうらめしい雨空を見上げていた。本日は渋の湯から高見石に登り、天狗岳、夏沢峠を経て稲子湯に下るという大変強行な予定を立てていたのだが、この天気ではどうにもならない。とりあえず、渋の湯で朝食をとり、中山峠まで登ることにする。雨具に身をかため、小止みなく降る雨の中を唯登るのは大変つまらない。渋の湯辺りは紅葉も盛りであったが、少々登って尾根の上に出た辺りは紅葉も終り秋から冬への装いを急いでいた。2ピッチで黒百合平の小屋に到着、雨は止みそうにもないので天狗岳は次の機会にゆずって、ひとまず、小屋で一休み、今日は行程が長いと覚悟してきたせいか、バーナーもコッフェルも持参しなかったので、温かい物も作れずストーブに温たまりながら濡れた衣類を乾かす。帰路は中山峠を越えて、みどり池、稲子湯へと下ったがその途中、ナナカマドの赤や、何か知らないが黄色く色づいた葉とのコントラストが大変美しく、収獲の少ない本日の山行に色どりを添えた。また、途出、落葉松の林で、庭野さんに見つけてもらった「あみ茸」を採りながら、のんびりムードで秋の山を楽しんだ。なお今山行に初参加した新人のS君、この山行を含めて4、5回天狗岳に来たそうだが、一度も晴れた日がなかったそうだ。どうも彼は雨づいているらしく、今度彼と山行を共にする時は、雨に降られる事を覚悟した方が良さそうだ。