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西ゼン
平 ふみ

山行日 1974年10月6日
メンバー (L)平、庭野、春原

 西ゼン、西ゼンと口うるさく言っていた庭野さんの影響もあり、私もいつか西ゼン行きを計画していた。以前、春原さんと三人で西ゼンの行ける所まで行ってみようということで出かけたが、生憎の雨で西ゼンと東ゼンの出合までで断念したことがあった。今回10月6日、金欠病も手伝って内心不安ながらも思い切って出かけた。
 出合までは何のことはなく河原が続く。取付きは一枚岩で自信があればどこから登ってもいいのだが、右端の草付から登り始める。この上のスラブは巻道をとり、草付通しに登り難なく通過。ここからが本番、第一スラブは流水を左に見ながら、右へ行き過ぎないように注意しなければならない。ゴーロに出て20mほどの滝の左手を登ると第二スラブに出る。第一スラブより傾斜がきつく長さ200mほどの大きさはさすがに迫力があり圧倒される。私達はわらじで快適な登りだが、他のパーティは岩登りの練習なのか登山靴で登ったり降りたりしている姿があった。高度感のせいか、それとも縦横に走っているリスを追って行くせいか、私は上へ上へと登って行ってしまったが早目にトラバースして左側に寄らないと傾斜が増し岩が脆くなにるのでかえって危険である。身軽にひょいひょい登る庭野さんとは対照的に、慎重な(?)私は時間を大分ロスしてしまった。
 2、3の滝を過ぎると沢は二分し最後の詰めになる。左は平標、仙ノ倉の稜線への道、右は池塘付近に出られるが、時間的余裕がなかったので右をとり平標新道を下る。途中、第一、第二スラブがとてもよく見え、そこを登ったとは思えないほどの急斜面に見える。列車時刻を勘違いして猛スピードで下りたため膝を痛めるというおまけまで付いたが、充実した一日だったように思われる。山行を重ね高度感に慣れ度胸を付ければ増々快調というところだろうか。最後にとても残念なことは、素晴らしい紅葉をカメラに収められなかったばかりか、口で説明し難いことなのです。


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