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春山合宿 スキー班
播磨 順子

山行日 1975年5月2日~5日
メンバー (L)小島、播磨(順)、久保、鈴木(嶽)、多部田、小杉、庭野、今村

 2年振りの慣れぬ夜行列車に乗ったため寝不足気味のまま、単調な芝倉沢への道程を時々沢音を子守唄代わりにうとうとしながら、後発隊の一員として小雨降る中を芝倉沢のB.Cに入りました。
 東京では桜も散って初夏を思わすような日がきているというのに、湯檜曽や土合辺りはやっと木々の芽が開いて春が来たばかり。それにもまして、新道入口からちょっと入った辺りからはまだ一面の残雪が頑強に春の訪れを拒み続けているようにさえ感じられました。今年は例年になく残雪が多く、毎年楽しめたB.C近くの桜はまだ蕾さえもつけてなく、その盛りはやっと湯檜曽の辺りまで登って来たに過ぎません。勿論、こぶしの白い花も例外でなく、谷川岳近辺ではその可憐な姿を最後まで見せてくれませんでした。
 B.C辺りは5月連休らしくテントの群落、少々がっかり電車は混雑するし、ここでもか....しかし、そんな憂鬱もすぐに消えてしまいました、芝倉でのスキー人口はその時2人だったから。木々の間をスイスイ滑るは小島さん、もう一人は始めたばかりの久保さん。愛児と家事を放って何とかやってきた谷川岳、少しでも多く楽しもうとお茶をいただいた後、すぐスキーを引っ張り出したのです。縦走隊を迎えに行くべく別所リーダーは新人2人を含め、雨の合間を見て大倉尾根へ出発していきました。リーダーのいなくなったB.Cは何ともけだるいと言うか、ひどくのんびりムードになってしまいました。
 いつもスキーを履いていざ!という時に起こるあの恐怖感はいつになっても消えない。別所さん持参のショートスキーに興味を持ったNさんが滑ってみる、幾度も転んでいたから恐らくバランスをとるのが難しいのだろう。そのスキーに、遥々山形の蔵王から来たモンチャンこと鈴木さんも挑戦してみたが、どうやら彼は長いスキーが得意のようであるらしい。スキーを始めて3回目だという多部田さんにはびっくりした。まさにオリンピックに出てきそうな滑降選手のようにスピードに負けず滑っちゃっているのだから。
 午後は本日帰京する久保さんと小杉さんを見送りがてら水上まで小島さん、鈴木さん達が買い出しにでかけた。午前中、しばし止んでいた雨も降り出し大粒の雨になったり止んだりの天候、夕方戻ってきた3人の話では庭野さんの推奨で湯檜曽付近で山菜を採ったとか。しかし、雨の中悪戦苦闘した割には収穫がわずかで、明日の天ぷらにあの大勢のお腹を満たすことができるかどうか不安な量でした。
 その夜、増々強くなる雨脚に縦走隊や別所隊のことを心配しつつクラシック音楽に耳を傾けながら、優雅な気分でシュラフに潜り込みました。
 5月4日、本日も雨で一日は始まりました。朝、今村さんが登ってきましたが相変わらず天気は悪い。午前中はスキーをして過ごし、午後の雨の上がった折、縦走隊を迎えに行くべく芝倉沢へ登って行こうと思っているところへ彼等が到着し、B.Cも一際賑やかになりました。今夜もきっと最後の夜を賑やかに過ごすことになると思いきや、アルコールが全く不足しまるでお通夜のよう、他のテントでは酒盛りの声が聞こえているのに私達のテントでは意気消沈のよう、何とも気の毒なような、B.Cを守る私達の不徳の致すところで....誠に遺憾に耐えませんでした。


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