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ひとり言
平 ふみ

 夏山の幕開けとともに仕事が忙しくなり、山に登る機会がここ数ヶ月なくなってしまった。山で味わう感触を想い出しながら、青空を恨めしげに眺めながら。
 私が山に登り始めたのは別に理由はなく、学校の部屋を覗いた時、真っ黒に日焼けした先輩の顔が何とも言えない魅力があったのです。女性だけのクラブであったが、それだけにその弱点も分かり、かえって自主性を求められたような気がする。クラブは縦走に主眼を置いた山の生活で必要な知識、技術の体得ということが一応の目標だったと思う。山に対し求めるものが違い、また様々な考えを持つ人達の集まりであるから、どうしても平均的な山行計画になってしまう。何年か先の計画を立て、それを継続させていくことはとても大変なことである。短期間であったが私の山に対する色々なことの土台になったような気がする。
 いろんな面でもっと幅広い山行をやりたくて、現在の山岳会に入った訳である。ここで体験したことは数多くあるが、日帰り山行でも毎週やってのけるようなバイタリティーと、山の楽しみ方でないだろうか。誰もが自分の山を求めることと思う。それは、自分と山との付き合いの中から自然と生まれるもので、どのくらい山に執着するかは、その人個人の生き方とかに結局つながっていくように最近思われる。エベレストに登った彼女達を見ると、生活力もあり、何よりも精神的若さがあの快挙を支えたような気がする。
 私の山は、山だけが特別に存在しているのではなく、生活の一部だと思っている。人間的な泥臭さも好きだし、山の清冽な空気も好きだし、ただ小さくても良いから踏み跡を残していきたいと思う。もっと具体的な山を書きたかったが、普段考えていることでもある。


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