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O.Bに想う
野口 孝司

 昨年、宮坂、長久両氏の努力により三峰山岳会においてO.B会が発足いたしましたことは誠に幸せと存じます。しかし、その後において例会ならびにルームでは依然として出席者が少なく寂しい限りです。ある人は多忙のため、気にかけているが行けない人。また既に山を捨て車、ゴルフ、釣りに転向した人、他の人は体が弱くなって山へ憧れながらも山へ行けない人、多種多様と思いますが、でもその人達は山の本を読んだり地図を見たりして、垂直の岩の壁、雪の詰まったルンゼ、寒風に吹き晒された夜のビバークなどを回想しているのではないか。
 私の友人で穂高や谷川岳で一本のピトンを岩に打ち込んだこともなく、また剣の氷の壁でピッケルを振ったこともない登山者が、尾根道を辿って山へ登り頂上の景色に感動したり、深い森林の中を気ままに歩いたり、空気の甘美に匂う原をさまよい、そして安らかな憩いを楽しむことを生き甲斐としています。彼は本当に山を愛しそして、どんなに年をとっても山が忘れられない愛すべき登山家ではないでしょうか。
 O.Bの先輩諸兄姉よ、昔素草鞋で丹沢の棚を直登した闘志は望むべくもないが低山逍遥もまた格別です。お互いの無事を喜び、昔話に花を咲かせたいものです。忙中閑ありと申します、是非お出かけください、例会に参加できなければルームなりとお出かけください、後輩の元気な顔を見、山の楽しい語らいを聞くだけでも嬉しいものです、老登山家よ頑張れ、原点に帰れ。


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