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御座石より地蔵ヶ岳へ
柴田 隆一

山行日 1976年5月2日~3日
メンバー (L)長久、今村、柴田

 まったく久し振りに山に行く気になった、山へ行きたいと思う気持ちは絶えず心の内にあったのだが、およそ半年振りに山行に参加することが出来た。私自身1年の山行計画を春山登山からと毎年計画しているのだが、1年間の山行計画を実行できたことは残念ながらまだない。今年も春山にて山へ取付き種々の訓練をした後、おもむろになどと考えて全く自分勝手にルームにも顔を出さず、果たして籍が取り除かれてやしないかと山へ行く気になってから心配するような具合で、我ながら自己嫌悪に陥り悶々とする日々が続き、意を決し先ずは相談相手と頼む(私だけが考えて頼っているのかも、本人にはすまなく思っているのです)今村さんに電話してみる。5月の連休が目前に迫り来る時期に。ルームを欠席しているため春山合宿は今年も恒例の如く谷川岳周辺と考えた自分の浅はかさ、今年は北アルプスだという。とてもじゃないが私にはやれないと日頃の不山行が悔やまれる。しかし、今村さんは長久さんと鳳凰三山へ行くという。ならばここで素早く考え長久さん、今村さんなら無理はすまい、ならば私にも行けると思い参加することに決めた。何せ半年振りだからと言って行かずに過ごす連休の空しさ、かと言って行ってから失敗では同行する面々にすまない、長久さん、今村さんについて鳳凰に行こうと考えた。まったく自分本位の身勝手、行きたくなれば行くようでは山行前の私の気持ちは複雑に揺らいでいた。
 さて、5月1日土曜日20時中野駅にて今村さんと待ち合わせ、長久さんとは立川駅で会い、一路今村さんの山荘がある穴山へ。深夜の穴山の町は灯が消え、しじまの中の田園を歩く。空気はしっとりと私達を包み星のきらめきの美しさは郷里を思い出す。都会から離れると気持ちが休まり心にゆとりが湧くのを覚える。
 穴山の駅から今村さんの山荘までは約10分くらい。洒落た造りで内も広く感じのよ良い山荘で周りは畑で道路からも離れ静かだ。
 5月2日、ゆっくりとした朝立ちとなる。穴山駅より御座石鉱泉のマイクロバスが8時過ぎに出発するというので登山口となる鉱泉までバスに乗る。長久さんが20年前に来た時は女学生だった鉱泉の娘さんは今、働き盛りのおばさんになっていましたが、長久さんに会った時、20年前のことをよく記憶していた。よっぽど昔親切にされたことが嬉しかったに違いない、御座石鉱泉からは約6時間で鳳凰小屋へ。体調は良く午前中は視界も良く、午後になり曇りだし、鳳凰小屋に着く頃に雨に変わる。小屋の中でごろごろしながら長久さんの山行経験などをゆっくりと聞けて、こんな山行も楽しくまた機会があれば同行してみたい。小屋の中は登山客でごった返していた。
 5月3日、6時出発の予定で準備したが前夜からの雨は止みそうもない、今日の行動は中止し8時過ぎに今村さんと二人で地蔵岳へ、北斜面にはまだ雪が残り下りは凍っていてピッケル、アイゼンのない者は慎重に行動をとらなくては危険である。下山したござい石鉱泉からのマイクロバスの接続がなく川を渡渉し旧道を歩く。気持ちの良い道を通りバスで韮崎へ出る。山へ行って楽しい気分になる。


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